誰もパーティーになってくれそうにありません
重たい目を開けると朝になっていた。
「私、冒険者パーティーを追放されたんだ…」
私の名前はミーナ・ルポルテ
17歳。訳あって神殿から逃走。昨日まで業炎の闘士の回復師として活動してきたけど、今日からフリーの回復師。
昨日の出来事はまだ実感がない。あんな最低な冒険者パーティーは辞めて正解だったけど、今後どういう風に生活するか考えると不安になる。
“ドンドン”ドアを強く叩く音がした。
「ルポルテさん、朝ご飯どうするんだい?」
「すみません!今から行きます」
時計を見ると遅い起床だった。宿の店主の奥さんがなかなか降りてこない私を呼びに来てくれたのだろう。素早く普段着に着替え、一階に降りると食堂のテーブルには朝食が用意されていた。
朝食はパンと目玉焼きとサラダとスープ。あったかいスープを飲むとホッとする。本当はゆっくり朝食を満喫したかったがチラッとカウンターの奥を見ると、せっせと宿の店主と奥さんが洗い物をしていた。もう時間が遅いので申し訳なく、かけこむように朝食を食べ自室に戻った。
「今から何をしよう」
とりあえず冒険者ギルドに行って買い物ってとこかな。冒険者ギルドで前に入っていた冒険者パーティーの脱退手続きがしてあるのかの確認と私でもこなせるクエストがあるか見てみよう。
ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
冒険者ギルドに着くと他の冒険者がこっちを見てヒソヒソ話をしている。それなりに有名なパーティーだったのできっと私が脱退した話が広がっているのだろう。
「おはようございます。ハンテさん。冒険者パーティーを脱退したので、手続きがしてあるかの確認をお願いします」
「あら、ルポルテさんね。冒険者カードをお願いします」
顔見知りのギルド職員さんにカードを渡すと、手際良く調べすぐ戻ってきた。
「業炎の闘士の脱退手続きはされています。あの⋯あくまで噂なのですけど」
ハンテさんが近づき小声で話す。
「業炎の闘士のメンバーがルポルテさんが不誠実をしたと。もしルポルテさんが他のパーティーに加入したら、そのパーティーを許さないと言ってるそうですよ」
「えー!」
耳元で聞いた内容が衝撃すぎて思わず声が出てしまった。あっちから酔って絡んでおいて私が悪者!?
激しい怒りが沸々と沸いてきた。確かに貴族出身のセドリックに逆らってしまったが悪い噂を流されるなんて⋯。
「じゃあ、私は他のパーティーに入りづらいですよね」
「だいぶ噂が広まっているので厳しいかと。業炎の闘士自体評判が悪いので噂を信じない人が多いと思いますが、目を付けられると厄介なので他のパーティーは無理に近いかと。セドリックさんに逆らって命があるだけでもマシかと」
ハンテさんからフォローされさが、絶望した。何も調べずに業炎の闘士に入った過去の自分を殴ってやりたい。
「もし一人で冒険者としてやって行くには初級ダンジョンでしょうか?」
「ルポルテさん自体はBランク冒険者なので、実力はあると思います。しかし回復師なので攻撃が武器や魔道具次第ですね。まずは初級ダンジョンから始めてみたらどうですか?それかお金を稼ぎたかったら依頼をこなすとかですかね」
やっぱり攻撃出来ないのは難しいな。悪い噂が出回る私は、貴族や商人からの報酬が高い直接的な依頼は厳しいだろう。




