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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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普段着を持っていない

“コンコンコン”


ドアをノックする音が聞こえた。


「ポーリーです。お話ししたいことがあるのですが」


ドアを開けるとポーリーさんが立っていた。


「おかげさまで安静にしておりましたら、すっかり回復しました」


「とても元気そうで安心しました。豪華なお部屋をありがとうございます。とても心地良いです 」


「それは良かったです。お二人にはとても感謝しております。そこで何ですが、お二人にお礼と私の復帰も兼ねてちょっとした食事会を開きたいのですがいかがでしょうか?」


明日の夜、ポーリーさん達とのお食事会に参加することになった。参加者はポーリーさんの家族や親戚、仲の良い知人。かしこまった食事会ではないので服は気にしなくて良いみたい。けれど冒険者の服で行くのも気が進まない。私は冒険者の服と寝間着しか持ってない。リンドさんも服が欲しいそうなので日没前に洋服店に行くことにした。



日没前、まずはリンドさんの買い物で男性用の洋服店に入る。


「いらっしゃいいいいい?」


男性の店員さんはねずみの被り物を見て動揺している。


「こっ…今回はどのような服をお探しでえええ?」


「カジュアルな食事会に着る服を」


店員さんはリンドさんに似合いそうな服を探しに行く。ねずみの被り物に似合う服はあるのだろうか?店員さんから二つの服装を提案された。まずは襟付きの長袖シャツに薄く涼しげなニット素材の紺のベストにグレーのパンツ。もう一つは白の上下のスーツ、中は黒の襟付きシャツに白のネクタイ 。どういうシチュエーション?実際に試着するとリンドさんは苦笑い。私は笑いをこらえきれず小さく吹き出した。満場一致で紺のベストの服になった。


リンドさんの服を購入し、今度は私の服の買い物になった。上品すぎず、カジュアルすぎず町のショーウィンドウを見て良さそうなお店に入る。店内に入ると、とても可愛い服がたくさん売られていた。あれもこれも候補の服が出てきて、とても悩む。鏡の前で服を合わせているとリンドさんが袖に刺繍が施されている水色のワンピースを持ってきた。これ似合うんじゃない?鏡の前で合わせると、とても良さそう。上品な場所やちょっとした食事会でも着られそう。店員さんに言って試着させてもらうと、とても似合っていた。すかさず店員さんからアクセサリーとバッグと靴も提案された。よく考えると他も冒険者用以外を持っていなかったので、それらもお願いした。会計時、色々買うものが増えたので予想以上の金額となった。青ざめているとリンドさんが支払ってくれた。「私が支払います」と申し出たが「俺、お金持ちだから」と結局リンドさんが支払ってくれた。


「リンドさん、ありがとうございます」


「余裕があるから、大丈夫」

とリンドさんは言った 。

頑張ってお金を貯めようと私は心に誓った。


宿に戻り、夕食をお食事会場で取る。さすが貴族などの方々が利用される宿とあってとても豪華。コース料理に舌鼓をうつ。ただ他のお客さんが上品な方々だったため私達は非常に浮いていた。そしていつものお決まりのリンドさんの被り物に皆驚いていた。


食堂から部屋に戻ろうとすると見知らぬ女性に声をかけられた。


「突然、ごめんなさい。スルト・ポーリーの妻のノルトリ・ポーリーと申します。先日は主人を助けていただきありがとうございます」


上品でお美しいポーリーさんの奥様。高級そうなお召し物を身に纏っていらっしゃる。明日の食事会の話になった。


「明日のお昼に髪を結う方が来ますの。よろしければルポルテさんも一緒にいかがですか?」


私はお言葉に甘えてお願いすることにした。ポーリーさんの奥様のおかげで髪をセットしてお食事会に参加できるようになった。久々の身綺麗な格好が出来ると思うと心躍る。

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

翌日、昼食は屋台で済ませポーリー商会の二階を訪れた。中に入るとポーリーさんの奥様や数人の人がいた。髪を結う前に化粧を施してもらい髪型は特にこだわりがなかったのでお任せすることにした。


「とっても綺麗!そのままでも美人だけどセットするともっと素敵だわ」


鏡を見るといつもと違う自分になっていた。髪型はハーフアップにしてもらった。奥様に褒めていただけると嬉しい。部屋に戻り、昨日購入したワンピースに着替え、食事会の準備をする。少し時間が経つとリンドさんが起きてきた。私を見るなり「似合ってるんじゃないか」と褒められた。リンドさんも服に着替える。いつもと違うリンドさんはねずみのお兄さん風になっていた。


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