ペガサスでサーマンに到着
遠くの東の空が明るくなり、もうすぐ日が昇りそう。私とリンドさんがそれぞれ乗っているペガサスは森林の開けたところに降りて休憩。ポーリーさんたちは先に町へ行くことになった。早くテントを張り、リンドさんは就寝。外にいる私と騎士団のシュウワさんとアローさんで朝食を取ることになった。
「ミーナさんは魔法使いをされてるんっすか?」
答えようとしたら、急にアローさんが「バカヤロウ」とシュウワさんにツッコむ。
「どう見ても回復師じゃないか!杖を見ろ!そんなものも分からないのか」
二人は過去の因縁も交え言い争いになる。話を聞いているとアローさんが先輩でシュウワさんが後輩みたい。シュウワさんは見て呆れるほど興味のあるもの以外全く関心がないらしい。アローさんが手を焼きながら指導しているそうだ。端から見ると喧嘩しているが仲が良い感じに見える。
「ミーナさんは回復師、リンドのさんが魔法使いって結構な魔法特化っすね!魔法が効かない魔物が出たら危険じゃないっすか!」
確かにそれは思う。物理攻撃出来る人を仲間に入れたいが私達には秘密がある。誰か信頼出来る人がいれば良いけど。
「魔法が効かない魔物って、この辺にいたりしますか?」
「この辺は聞いたことがないな。北の方が魔物が強いから、あっちでちらほら聞いたことがあるかな。まあ、最近魔物が活発化しているから何とも言えないかな」
北に行く時は誰か物理攻撃をする人が必要ってことか。
空が暗くなり、日没前になった。
「よし出発するぞ!」
アローさんの掛け声でペガサスが空へ羽ばたく。夜明け前までしばらく飛び続けていくと、サーマンの町が見えてきた。
「サーマンに着いたぞ! 今から降下するぞ 」
ゆっくりペガサスは町の広場にとまった。ペガサスから降りると、シュウワさんが近づいてきた。
「サーマンで泊まる宿を決めてますか?」
「宿はまだ決めていません」
きっとお祭りが近いため空いていないと思う。サーマンの町に有料の広場があればテントを張って泊まろうと考えている。
「ポーリーさんがぜひ商会に泊まって行かれませんか?とおっしゃってましたよ」
それはありがたい。リンドさんも頷いたのでポーリー商会でお世話になることにした。シュウワさんとアローさんにお礼を言って、ポーリー商会に向かった。まだ夜明け前なので人はほとんどいない。予定より早く着いたのでお祭りはまだやっておらず、準備段階な感じだ。シュウワさんに教えてもらった方向に歩いて行くと街で1・2番の大きさの建物の前に人が立っていた。
「 もしかして、ミーナ様とリンド様でいらっしゃいますか?」
「はい」
「この度は会長に代わって大変感謝申し上げます。会長は今、休養中のため私、カブク・ポーリーが代わって案内させていただきます。カブクと呼んで下さい。」
「ポーリーさんは大丈夫ですか?」
「はい。ダダンボウに血を少し吸われたみたいで。今は安静にしています」
よかった。あれだけの虫の魔物に囲まれて本当に無事で良かった。ポーリー商会の隣の大きな建物に案内された。扉を開くとロビーからとても広く、豪華な装飾が施されていた。
「こちらは貴族や王族の方々が来られた時に宿泊される宿でございます。お部屋は二階になります」
カブクさんから案内された部屋は広くて豪華だった。食事もポーリーさん側が用意してくださるみたいで、この町に滞在する間はいつでも泊まって良いみたい。
「とっても広い部屋だな。お風呂もあるぞ!」
「香油もあるじゃない素敵!」
豪華で広い部屋に盛り上がった。浴槽に浸かれるなんて久しぶり。
「この部屋は寝室が別々の一部屋ですが大丈夫ですか?」
「寝室が別々になってますので気にしないです」
私達はとりあえずお風呂でさっぱりして早く寝たい。
「お風呂お先にどうぞ」
リンドさんが譲ってくれたので、先にお風呂に入ることにした。浴槽にある装置のボタンを押すと、水と火の魔石が稼働し、心地よいお湯が勢いよく出る 。その間に衣類を脱ぎ、桶でお湯を汲み髪や体にかけていく。石鹸で全身を洗う。浴槽にお湯が程よく入り、ボタンでお湯を止める。体を洗い流し浴槽に浸かる。
「ああ、いい気持ち」
疲れた体に染み渡る。少し浸かっていたら眠くなってきたので上がることにした。ダダンボウの液体で匂いとねばつきが取れてさっぱりした。タオルで体を拭く。服に着替え、風の魔石がセットしてある送風機で髪を乾かす。最後に香油を髪につけた。これがとってもいい香り。バラの上品な香りに包まれた。
「お待たせしました。お次どうぞ」
お風呂から上がるとリンドさんは本を読んでいた。
「これか?前の町のガラクタ堂で見つけたグルメ本だよ。この町ではノグゥーってお店の桃のタルトとアンガスってお店のステーキが美味しいらしいぞ」
「それは是非食べてみたいですね!」
この町を出発するまでの目標になった。




