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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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誰かの悲鳴が聞こえた

地図を広げ川を探す。川となると遠回りになり、サーマンまで3〜4日伸びそう。地図を見ていると近くに湖があった。目的地から 1〜2日ほど日程が伸びそうだが湖に向かって歩き出す。


暗くて辺りが見えづらいが、もし食べられそうなものがあれば刈り取り収穫することに決めた。道を突き進んでいると相変わらず虫の魔物が多い。灯りに集まってくるのだろうか?ダダンボウ、ハエを大きくしたような魔物のスエトバエ、大きな青虫で粘ついた糸を出すイトムシとよく遭遇した。冒険者ギルドでゴーモルンの討伐の依頼を受け、よく見かけたが飛びながら遠く離れた場所からこちらの様子を窺っていた。もしかすると虫の魔物の戦いを見て警戒しているかもしれない。


夜の虫の魔物の多さに疲れながら歩く。時より食べられそうな野生の動物や魔物を倒し血抜きの処理をして魔道具のシートに包み入れた。保存食や倒した野生動物の調理をして食べ、休み休みに湖に向かって歩いていく。虫の魔物の多さにげんなりしながら道中、私もリンドさんと同様、臭いとねばつきに悩まされている。ダダンボウを見るたびにとても殺意が湧いてくる。リンドさんと虫の魔物の愚痴を言い合ってると、


「わああああああー!」


男性の悲鳴が聞こえてきた。


そう遠くはない悲鳴。声をした方向に走る。道の舗装はされていない緩やかな斜面を下り、木々をすり抜ける。辺りは暗くあまり早くは走れないが、男性の無事を願いながら進んでいく。緩やかな斜面を下りていくとそこは湖だった。


湖の近くに一台の馬車が停まっていた。近くに尻餅をついて後ずさりする男性と今にでも襲いかかろうとしている複数のダダンボウ。少し離れた場所ではダダンボウに全身の血を吸われて干からびた三人の男性の遺体が転がっていた。すかさずリンドさんは魔法を唱えダダンボウを炎魔法で燃やしていく。男性は「ひええ」と頭を守りながらしゃがんで怯えていた 。ダダンボウを倒したことを確認し、未だに震えている男性に声をかける。


「大丈夫ですか?」


声をかけられた男性は「ひっ」と裏返った声を出し恐る恐る頭を上げた。男性は倒れた虫の魔物を見ると、ホッとした表情になった。


「この度は助けていただきありがとうございました。虫の魔物にやられるところでした。何とお礼を申したらいいのか」


「当然のことをしたまでです。しかしながら、他の三人の方は間に合いませんでした」


三人の男性はダダンボウに全身の血を吸われたのだろう。三人とも目を見開き、だいぶ干からびていた。普段の虫の魔物はそこまで強くないが、集団の虫の魔物となると恐ろしい 。全身の血をかなりのダダンボウに吸われたのだろう。


「申し遅れましたが、私はスルト・ポーリーと申します。ポーリー商会で会長をやっております。この者たちは私が雇った護衛です。サーマンに向かう途中、休憩がてらに湖に行きました。やたら虫の魔物が多くて疲弊した護衛と逃げ出そうとしたところ、このようなことになってしまいました」


ポーリー商会といえば、王国1・2を争う商会だ。護衛もそれなりに腕の立つ剣士だと思う。大量のダダンボウの液体で剣の切れ味が悪くなったり、視界が遮られたり剣士には不利な相手だと思う。もう少し早く駆けつけていればと思うと残念だ。


「確かに虫の魔物が多いな。いつもこんな感じか?」


「いいえ。こんなに多いのは長年商人をやっておりますが初めてです。いつもはこれほど危険ではありません」


ポーリーさんの話によると、虫の魔物はこの辺ではいつもなら出てきても数匹ほど。湖に近づくほど虫の魔物が多くなっていったそうだ。もしかすると、虫の魔物の巣が近くにあるかもしれない。あんな虫の魔物が大量発生とかたまったもんじゃない。


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