冒険者パーティーから追放されました
「おい!おまえ、俺の女になれ」
「はっ?」
今、業炎の闘士のメンバーとパブに来ている。テーブル席にお店の女性とお酒を嗜んでいる中、急に耳を疑うようなセリフが聞こえた。
リーダーのセドリックは酔っぱらっている。セドリックは俺様気質でお酒が入ると、女癖が悪くたちが悪い。貴族出身という事で誰も逆らえない。
「私はルポルテですよ。誰かと間違えていませんか?」
「なぁ、俺となら良いだろう?」
セルドックは肩を寄せてきた。酔って話にならない。周り助けを求めようと、目を配らせたが同じメンバーのニックは我関せずで下を向いてお酒を飲み、ジェインは少し離れた場所でお店の女の子と楽しそうにしていた。
セドリックは肩を抱き、ぐいぐい近づいてきた。
(気持ち悪い!!)
咄嗟に目を閉じると、人が倒れる音がした。
目を開けると、セドリックが少し離れた所に尻もちをついていた。
「おい!お前何するんだよ!!」
酔いは醒めたのだろうか。怒りに満ちたセドリックがこっちに向かってきた。きっと私は無意識にガードの魔法を発動してしまったのだろう。
「俺は貴族出身だぞ!平民が貴族に攻撃したらどうなるか分かってるんだろうな!!」
「私は回復師です。私は自分にガードの魔法をかけただけなので、攻撃していません。たかがガードの魔法で怒り狂うなんて。あなたの強さはこんなものですか?」
店内は静まり返り、他の客やお店の女性はこちらをみている。
「なんて生意気なんだ!せっかくあまり取り柄のないお前を仲間にしてやったのに。今日でお前はパーティー追放だ。二度と顔を見たくない」
セドリックはお金を乱暴にテーブルに叩きつけ、ニックとジェインを引き連れてお店を出ていった。
(恐かった⋯)
恐怖で少しの間、その場に立ち竦んでいた。
周りの雰囲気に居た堪れず、お店の人に頭を下げお店を後にする。
前々から苦手だった冒険者パーティー。A級パーティーで色々な場所で活躍していたけど、貴族出身だが家出したと言われるセドリックに誰も逆らう事が出来ず。セドリックにずっと我慢してきたのに、こんなにあっさり切られるなんて。私はただの捨て駒だったのだろうか。
元冒険者メンバーと同じ宿は嫌だったのでキャンセルし、幸いにも他の宿が空いていたのでそこでお世話になる事にした。




