第1章9話:4人の戦士
赤髪の男、斧使い。
赤髪の女、魔法使い。
青髪の女、剣士。
青髪の男、狩人。
その4人組が、俺の存在に気づく。
「ん……? 誰だよお前?」
と赤髪の男が尋ねてきた。
俺は答えた。
「俺は旅人だ。お前たちは?」
「勇者の付き添いでここまで来た冒険者だよ」
と赤髪の男が答えた。
勇者の付き添い……やはりデレクの仲間か。
そのとき赤髪の女が推察を述べた。
「ねえ? こいつ……アンリじゃない?」
すると青髪の男が目を細める。
「ん……言われてみれば、たしかにアンリだな。遠目で見たことがあるぜ」
そこで俺は口を開いた。
「いかにも。俺はアンリだ」
すると赤髪の男が言ってきた。
「アンリって、国外追放されたっていう、あのクズ野郎のことか? 聞いたぜ、数々の悪事に手を染めた悪党だってよ!」
「……それは事実じゃない」
と俺は答えた。
俺はさらに告げる。
「濡れ衣だ。勇者デレクに、罪をでっちあげられたんだ」
すると青髪の女が笑った。
「はー? あははは! デレク様があんたを嵌めたっていうの? バカバカしい!」
青髪の男が侮蔑の目を向けて告げてくる。
「なるほどな。国外追放されるようなゴミは、自分の罪も認められないってわけか」
赤髪の女が肩をすくめて言った。
「勇者がでっちあげなんてするわけないのにね」
赤髪の男が小馬鹿にするように告げた。
「勇者への侮辱は罪になるんだぞ? わかってんのかよゴミ貴族? いや、元・貴族の没落野郎だったか。ぎゃははははは!」
4人は露骨に罵倒してくる。
俺が犯罪者であるというのは、本当にデレクのでっちあげなんだがな。
俺はため息をつく。
そのとき赤髪の女が言った。
「ところで……一つ聞きたいことがあるんだけどさ」
赤髪の女が、俺の腰に目を走らせる。
その視線に映っているのは、俺のアイテムバッグだ。
そう――――デレクから奪い取ったアイテムバッグ。
「なんであんた、デレクのアイテムバッグを持ってるわけ?」
その言葉とともに、赤髪の女が、敵意のような目を向けてきた。