第3章78話-2:防戦と他者視点
一方。
そんな中、冷静に状況を見つめる者もいた。
たとえば一人の男性騎士は、ネアよりもアンリの耐久力に驚愕していた。
(ネア様の攻撃を受けても、持ちこたえているだと……!?)
通常、精霊の打撃を食らって即死しないなど有り得ない。
神殿騎士団を相手にたった一人で無双していたアンリであるが、精霊を相手にしてもある程度の戦闘が成り立っているさまは、ヒトの常識を超えているように思える。
アンリとは何者なのか。
本当にただの人間なのか、男性騎士は真剣に疑い始める。
そして。
そんな兵士や騎士に混じって、複雑な心境で二人の戦いを見守る者がいた。
アレクシアである。
(私は……そうか。アンリに負けたのか)
精霊ネアに操られていたときのことを思い出す。
自分がアンリに剣を向け、あっけなく敗れてしまったことを、アレクシアは覚えていた。
(そして、今度はネア様とアンリが戦っている……アンリの劣勢に見えるが、果たして本当にそうだろうか?)
アンリは、ネアからの激しい殴打を食らい、着実にダメージを負っているように見える。
しかし、どことなく余裕がある気配もあった。
(……アンリ)
心の中で、アレクシアはアンリの名をつぶやく。
アレクシアには精霊ネアへの忠誠心があった。
しかし、現在は、少し抵抗がある。
それはやはり、さきほど自分の意思に反して、操り人形にされたからだ。
神殿国の民にあってはならない感情だが……
アレクシアが応援する気持ちは、ネアではなく、アンリのほうに傾いていた。




