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第1章6話:最強の力

(ああ! 俺に力をくれ!)



そう訴える。


すると。



(よかろう)



次の瞬間。


霊玉れいぎょくから霊気れいきのような光のもやが放たれる。


その光のもやが俺を包み込む。


何かが俺の中に吸収される感覚があった。


俺にしか見えていない光景なのか、デレクは光に気づいていない。


(ああ……わかる)


俺は、自分の手のひらを見つめた。


(最強の力が宿った)


アンリの使う最強の能力。


念力――――サイコキネシス。


それが俺の中に習得できたのが、確かに自覚できた。


「じゃあ、さっさときにさせてもらうぜ」


とデレクは笑いながら言った。


彼は続ける。


「せいぜい泣き叫んで、気持ちのいい悲鳴を聞かせてくれよ。悪役くん」


そうしてデレクは右手に魔力を込める。


ぼうっと突っ立った俺。


そんな俺に、デレクが炎魔法弾ほのおまほうだんを放つ。


「グレートフレイム!」


巨大な炎の魔法弾が、俺に迫ってくる。


(止まれ)


俺はただ……


そう、念じるだけで……


止めた。


空中で、魔法弾を制止させる。


「!?」


デレクが驚愕に目を見開く。


さらに俺は。


霧散むさんしろ)


そう念じる。


すると、炎の魔法弾がはじけて、周囲に散らばった。


デレクが目を見開きながら、つぶやく。


「い、いったい何が……」


「わからないか?」


「!?」


「どうやら俺は、アンリのあのスキルを手に入れちまったようだ」


「な……馬鹿、な……」


デレクが慌てて、祭壇さいだんを振り向く。


祭壇に置かれた霊玉は、光を失っている。


「そ、そんな……いつの間に……!?」


とデレクが呆然ぼうぜんとつぶやいた。


俺は不敵に微笑みながら、告げる。


「くだらない雑談ざつだんをする前に、さっさと俺を殺しておくべきだったな? そうしたら、力を手に入れる前に、俺を始末できたかもしれない」


「ウソだ! ウソだウソだウソだ! お前がアレを手に入れたなんて、有り得ない!」


デレクが怒りで歯をむきだしにする。


彼は、両手に魔力を込める。


「死ね、アンリィィイイイッ!!」


デレクの両手から白い魔法光まほうこうが放たれる。


メテオバーストか。


ラスボスせんで使うような最強魔法さいきょうまほうである。


デレク……お前、レベリングしすぎだろう。


だが。


(止まれ)


さきほどと同じように、俺は念じた。


すると。


メテオバーストが、空中で制止する。


デレクが驚愕する。


「馬鹿な!!?」


さきほどと同じように、俺はさらに念じる。


(霧散しろ)


次の瞬間。


メテオバーストが、弾けて、消えた。


上級魔法メテオバーストですら、俺のサイコキネシスの敵ではない。




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