第3章41話:無双
「なっ……!」
「あんなにあっさり倒すなんて……!?」
と兵士たちが驚く。
俺は告げた。
「お前たちとは鍛え方が違うのだよ」
さも鍛えた肉体による芸当であるかのように言うのは、お約束だ。
一瞬にして男が1名、死んだことにより、騎士団長は驚き、そして険しい顔つきになった。
周囲からも、こちらを侮るような表情が消える。
俺はそんな彼らに向かって、告げた。
「俺は昼寝を邪魔されて、気分が最悪だ。お前たちは皆殺しにする。かかってこい」
一瞬の静寂。
直後。
騎士団長が、叫んだ。
「かかれぇぇえええええッ!!!」
瞬間。
周囲にいた全員が叫んで、一斉に突っ込んでくる。
「「「「オオオオオォォォォォーーー!!」」」」
雪崩を追って、俺へと疾駆してくる兵士たち。
50名以上もいる敵たちが一気呵成に向かってくるさまは、普通なら恐れるところだが……
俺は悠々《ゆうゆう》と、サイコキネシスを身体にまとわせ――――
地を蹴り、一番近くまで来ていた男兵士を殴り飛ばした。
「がふっ!!?」
吹っ飛んでいく兵士。
横から女兵士が斬りかかってきた。
「ヤァッ!!!」
気炎をあげる女兵士。
そこに俺はカウンターをあわせ、裏拳を顔面に叩き込む。
「ぐぶっ!!?」
女兵士が地面にひっくり返った。
続けざまに、俺は。
近くの男兵士を、回し蹴りで蹴り飛ばす。
「がっ!?」
次に女兵士の腹に拳を叩き込む。
「あがっ!!」
一人の兵士を頭をつかんで、他の兵士へと投げつける。
「ぐはぁっ!!?」
「あぶぁっ!!?」
あっという間に5人以上の兵士が倒れて、気絶する。
俺は高笑いをした。
「ははははは! どうした、そんなものか!? これでは瞬殺すぎて、暇つぶしにもならんぞ!」
そのとき。
「舐めるなよ!! ―――――ハァァアアッ!!」
裂帛の声とともに、男魔導師から放たれたのは炎の魔法弾である。
1メートル大の火球。
悪くない魔法だ。
しかし。
「ふっ!!」
俺は、呼気を一つ。
拳を火球へと叩き込む。
火球に拳が触れる瞬間、サイコキネシスで火球を散り散りに弾けさせた。
まるで打撃によって火球を打ち砕いたかのような演出。
「バカな!?」
「魔法を殴って、霧散させただとォ!!?」
「なんだあの武術は!?」
と兵士たちが驚愕する。




