第2章31話:終幕
「そこか」
ローゴスを発見する。
崩れゆく床を足場にして、まさに地上へ落ちゆく途中だった。
俺は、落下していく瓦礫たちをサイコキネシスで操作して、ローゴスに飛来させた。
「ふンッ!!」
ローゴスが拳を振り払い、飛来する瓦礫たちを粉砕する。
「なるほど――――物体操作! それが貴様の真の力か!」
とローゴスが納得したように言い放ってくる。
俺は否定した。
「違う。それは俺の力の一部に過ぎない」
そのとき、ちょうど俺とローゴスが床に着地する。
ここは一階。
どうやら一番下の階まで落下してきたようだ。
周囲は壁や天井が崩落しており、瓦礫の山である。
俺はそんな周囲の惨状は気にも留めず、ローゴスに向かって手をかざす。
「耐えてみろ。雑魚魔族」
「ぬッ!!?」
俺はローゴスに対して、サイコキネシスによる【空間圧縮】をおこなった。
ローゴスの身体が見えない空気に押しつぶされていく。
「なっ!!? ぐ、おおおおおおォォォッ!!?」
ローゴスの身体が内向きに閉じていく。
それをローゴスが、魔力と筋力で無理やり跳ね除けようとする。
まるで縛りつけようとしてくる鎖を、振り払うかのように――――
しかし。
サイコキネシスの空間攻撃は甘くない。
ローゴスも、サイコキネシスを克服できないことに気づく。
「馬鹿なッ!? 我が圧力を、跳ね返せないだとォ!!?」
ローゴスの抵抗むなしく。
これ以上、圧迫されてはいけないレベルまで、空間がゆがめられた。
「やめ、やめろッ!! ぐあ、あああああああッ!!?」
ローゴスが断末魔の絶叫を上げる。
俺は、手のひらをぎゅっと閉じた。
直後――――ローゴスの周囲の空間が、完全に圧縮された。
ローゴスが肉体が限界を超えて縮められ、大量の血が噴き出す。
最後に俺は、サイコキネシスによって、ローゴスを内側から爆散させることにした。
「爆ぜろ」
念じる。
ローゴスの肉体が、爆散した。
肉片と血が飛び散り、魔力の混じった濃厚な血臭が、辺りに充満する。
戦闘終了である。




