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第6章220話:別視点4


そして数日後。


アンリが実際にやってきた。


新国王は若い王である……と聞いていたが、本当に若々しい男だとヴィオレッタは思った。


しかしアンリがまとう雰囲気は、決して若輩じゃくはいの持つソレではなく、深い知性と威圧感を感じさせた。


「ようこそお越しくださいました、アンリ陛下。新国王へのご就任、おめでとうございます」


「ああ」


とアンリは短く答えた。


ヴィオレッタは、まずアンリと会食をした。


ヴィオレッタが用意できる最大限の高級料理で、アンリにもてなしをする。


リュートを弾くことができる音楽家おんがくかを雇って、生演奏なまえんそうを響かせながらの食事だ。


食事が終わったあと、アンリは人払いを申し出てきた。


ヴィオレッタと二人で会話をしたいとのことだった。


ヴィオレッタはこの要求に応じ、部屋から部下や演奏家たちを退出させた。


そしてアンリと二人きりになる。


アンリは言った。


「美味い食事だった。まずはヴィオレッタ商会のもてなしに感謝を贈ろう」


「もったいないお言葉です」


とヴィオレッタは丁寧に返事を返す。


「さて、俺がヴィオレッタ商会のもとを訪れた理由を話すとしようか」


とアンリが切り出した。


ヴィオレッタはアンリの言葉に集中する。


「俺はお前の貿易の能力に、大変注目している」


「貿易、ですか」


「そうだ。ヴィオレッタ商会は、規模こそ中堅の域を出ないが、海外貿易かいがいぼうえきにとても意欲的だろう」


ヴィオレッタはうなずいて、答えた。


「おっしゃる通りでございます」


「しかし資金面しきんめん苦慮くりょしている。違うか?」


「……」


「貿易をするにも元手が必要だ。お前は貿易によって大きく稼ぎたいと思っているが、それをおこなうための資金が不足している。ゆえに思ったような利益を上げられないでいる」


的確な指摘だった。


まさしくアンリが述べた通り、ヴィオレッタ商会は貿易の意欲があるものの、資金面で難儀なんぎしていた。


本当はもっと大規模に交易を展開したいと思っているのだが。


「お前のような意欲ある商人には、国が支援するべきだと考えている」


その言葉は、ヴィオレッタにとっては予想外のものだった。


アンリは続けた。


「だからこそ俺が、ヴィオレッタ商会の貿易事業に協力しよう」


「協力……ッ」


ヴィオレッタは息を呑んだ。


まさか本当に国王が、ヴィオレッタ商会に支援を申し出てくれるとは思っていなかったからだ。


「ただし、何も見返りを求めないわけではない」


とアンリは告げた。







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