第6章217話:別視点
<ノルドゥーラたちの視点>
アミアルダンジョン。
その上層部は幻想的な青い光に満ちていた。
洞窟の壁から生える光る苔が、薄暗い通路を照らし、四人の姿を浮かび上がらせている。
「これは……なかなか厳しいダンジョンだな」
とカイトーンは息を切らせながら言った。
彼の魔法剣は青く輝き、汗で濡れた額には血の跡が残っている。
「さっきの魔物ども、予想以上に強かった」
その言葉にサラベルが同意する。
「ええ、やたらと動きが連携していたものね」
「おそらく中層が近いんだろうな。……ったく、結構もらっちまったぜ」
とゼス。
三人は無意識のうちに、少し離れた場所で座っているノルドゥーラを見た。
ノルドゥーラはまるで考え事をしているかのように目を閉じていた。
「おい、監督者さんよ」
とゼスが声をかけた。
「俺たちがボコボコにされているのを見て楽しんでるか? 少しは助言とかないのか?」
ノルドゥーラはゆっくりと目を開けた。
「おぬしらの力量を見極めておる。結論から言うと、課題が多いな」
「課題?」
カイトーンは首をかしげた。
「俺たちに足りないものがあるってことか?」
ノルドゥーラは立ち上がり、彼らを見回した。
「たとえばゼス」
「……ん、俺か」
「おぬしは速さはあるが、打たれ強さは低い。そのスピードに対応してくる相手にはすこぶる弱い」
「それは……まあ、そうだな」
的確な指摘だったのでゼスは反論できなかった。
「防御力を向上させることも重要ではあるが、そのほかにも、戦い方を工夫してみるがいい。たとえば、ただ速さでゴリ押すのではなく、ヒットアンドアウェイを意識するといいじゃろう。速いうえにヒットアンドアウェイを仕掛けてくる敵というのは、我ですら辟易することもあるぐらいじゃからのう。……次にサラベル」
ノルドゥーラはサラベルを見つめて指摘する。
「鞭術は中距離を得意とする戦闘スタイルじゃが、おぬしの場合、間合いに近づかれたときの対応が甘いな」
「あー、苦手なのよね。近距離は」
「苦手を苦手のままにしておくと上達はできん。改善するよう意識せよ」
そして最後にノルドゥーラはカイトーンを見つめた。
カイトーンは息を呑む。
ノルドゥーラが告げた。
「カイトーン。おぬしは器用貧乏じゃな」
「器用貧乏……」
「剣術も魔法も両方使える二刀流のように見えて、上手く使いこなせておらん。剣も魔法も使えるということは、単純に戦術パターンが2倍以上に増えるが、そのぶんだけよく思考を凝らさなければならん。ベルナダ武人国の脳筋スタイルはいったん捨て、クレバーな戦い方を追究するがいい」
「なるほど……一理あるな」
とカイトーンは納得した。
ノルドゥーラは以下のようにまとめる。
「それぞれ実力は悪くない。が……課題は山積している。この強化訓練の期間に、少しでも課題を消化できるよう励むがよい」
ノルドゥーラの言葉に、3人は強くうなずき、ふたたび戦闘へと舞い戻るのだった。




