第6章216話:討伐後
グラドベヒーモスの討伐後。
その遺体を証拠として持ち帰ることにした。
グラドベヒーモスの死体は、通常のアイテムバッグでは収納できるサイズではないが、俺には容量無限のアイテムボックスがある。
ゆえに死体を全て回収することができたのだった。
その後、しばし鉱山中層を調べてみる。
他にグラドベヒーモスや、危険な魔物がいないか調査する。
結果として、いたって平均的な魔物がいるだけだった。
この程度の魔物ならば、護衛の冒険者を連れて行けば倒せるので、鉱夫たちの作業も可能だろう。
「よし、戻るとしよう」
俺はぽつりとつぶやき、きびすを返す。
鉱山の入り口に戻る。
ボーゼスが入り口で立っていた。
俺の姿を見つけると、安堵の色を浮かべる。
「陛下!! ご無事で……!」
ボーゼスが駆け寄ってくる。
俺は簡潔に話した。
「魔物は討伐した。アレはたしかにグラドベヒーモスだった。しかし、もう二度と現れることはないだろう」
「たった一人で、あの恐ろしい魔物を?」
「そうだ」
と俺は淡々と答えつつ、告げた。
「証拠を持ってきてある。確認しろ」
そうして俺はグラドベヒーモスの死体を、アイテムボックスから取り出した。
ボーゼスおよび周囲にいた作業員たちが驚愕する。
「うおお」
「すげー」
「こ、こんなデカい魔物を……陛下が?」
「どうやって倒したんだ……」
周囲から感嘆の声が漏れている。
ボーゼスも茫然としていた。
俺はそんなボーゼスに告げる。
「ついでに中層を調べて、グラドベヒーモスのほかに強力な魔物がいないか確認したが、何もいなかった。これでお前たちも安心して、中層での採掘が再開できるだろう」
「おおおお……!」
と我に返ったボーゼスが感激した。
「陛下……このご恩は一生忘れません! 本当に、本当に有難うございます!!!」
周囲の鉱夫や作業員たちも礼を口にした。
俺は微笑んで告げた。
「ああ。……ところで、今回の件で考えたことがある。聞くがいい」
「はっ。なんでございましょう」
「この鉱山を王室直轄にしたい。お前をそのまま鉱山長として残し、必要な設備投資もおこなう。労働条件も改善し、鉱夫たちの給与も引き上げよう」
「なっ……王室直轄、ですか?」
ボーゼスの顔に驚きの色が広がる。
「そうだ。この鉱山は国にとっても得難い資源だ。今まで領主の管轄下で十分に活用されてこなかったが、これからは変わる。セリダナイト鉱石を使った武具の製造も王都でおこない、国の財源としたい」
鉱夫たちのあいだに喜びの声が広がった。
長年、厳しい条件下で働き続けた彼らにとって、労働環境の改善は夢のような話だろう。
「陛下がそのようになさりたいのでしたら、異論はございません。我々も、陛下のご期待に応えられるよう全力を尽くします!」
とボーゼスも、感謝の念を湛えながら深々と頭を下げるのだった。




