第6章215話:中層
中層を歩く。
壁面には青みがかった鉱脈が走っていた。
セリダナイト鉱石の痕跡だ。
さらに深く進むと、通路は次第に広くなる。
採掘跡と思われる大きな空間に出た。
床には焦げた跡が残り、壁には巨大な爪痕が刻まれていた。
俺は通路の途中で、床に散らばった赤いうろこのようなものを発見した。
それは金属のように硬く、手に取ると熱を持っていた。
「グラドベヒーモスの痕跡か」
そのうろこを調べていると、突然、遠くから重い足音が響いてきた。
地面が揺れ、小石が弾む。
俺の足元の水たまりには波紋が広がっていた。
俺はサイコキネシスを展開して周囲を警戒した。
足音は次第に大きくなり、空間の温度が急上昇する。
やがて洞窟の先から巨大な影が現れた。
「グゴオォォォォオオオオ!!!」
咆哮する巨影。
全長は10メートルを超え、全身は赤いうろこで覆われていた。
頭部には二本の大きなツノ。
背中に並ぶ鋭い棘。
四本の頑強な足は柱のごとく太く、その爪はきわめて鋭利だ。
口からは炎と煙が漏れ、瞳は溶岩のごとく赤くぎらついていた。
「ふむ」
グラドベヒーモスだ。
俺はゲーム知識によって、この魔物の強力さを知っている。
炎属性の上級モンスターで、物理攻撃力と魔法攻撃力の両方を兼ね備えている。
通常の武器では傷つけるのが難しく、強靭なうろこは魔法耐性さえ有している。
「ここはお前の領域か?」
と俺はつぶやいた。
「だが、採掘の邪魔だ。消え失せろ」
グラドベヒーモスは返答の代わりに、突然の攻撃によって応じた。
その口から巨大な火球が放たれ、俺の立つ場所へと飛来した。
だが俺のサイコキネシスがすでに防御の壁を形成していた。
火球は見えない防護膜に衝突し、四方八方に炎が散った。
洞窟内の温度が一気に上昇する。
「他愛もない攻撃だ」
グラドベヒーモスは地面を前足で力強く打ち付けた。
衝撃波が走り、足元の岩が割れる。
俺はサイコキネシスで自らの身体を浮かせ、衝撃を回避する。
「空間切断」
次の瞬間。
グラドベヒーモスの前足がスパッと切り裂かれる。
「グォオオオオオオオオオオオオオオ!!?」
激しい絶叫が洞窟を震動させる。
おびただしい血液が飛散する。
俺はさらに、追撃の空間切断を放ち、グラドベヒーモスの首を切断した。
「―――――――――――――」
グラドベヒーモスの首がバターのごとく切断される。
ずり落ちた生首が地面に落ち、ずしんと音を立てて周囲を震動させた。
これでグラドベヒーモスの討伐は完了である。




