第6章213話:鉱山集落
広間に残された貴族たちは恐怖に凍り付いていた。
俺は血まみれになった広間の中央に立ち、冷たい目で彼らを見渡した。
「聞け。貴族どもよ」
俺は厳しい声で言った。
「これが反逆者の末路だ。俺は国の発展のためには手段を択ばない。お前たちには二つの道がある。俺の政策にしたがい、新しい時代の基礎となるか―――それとも抵抗して消えるかだ」
俺は血染めの床を踏みしめながら、扉に向かった。
「今回は残りの者たちを生かしておく。帰って伝えるがいい。ベルナダ武人国に新しい時代が来たことを」
そして俺は振り返らず、歩き去るのだった。
三日後。
馬に乗りながら複数の道のりを経て、険しい山道を抜ける。
谷間に開けた小さな集落が見えてきた。
――――山間の鉱山集落コルベック。
石造りの質素な家々が山の斜面に沿って立ち並ぶ集落。
その中央には大きな採掘施設が存在していた。
集落から少し離れたところには街がある。
あの街が、集落の本体であり、コルベックはあくまで鉱山採掘用の仮設村落に過ぎない。
集落の入り口では、髭面の頑強な男が立っている。
背後には衛兵たちを従えている。
「陛下。ようこそコルベックへ。鉱山長のボーゼス・ローデイでございます」
髭面の男は深々と頭を下げた。
彼の肉体は採掘作業で鍛えられ、荒々しさを感じさせた。
「ご足労いただき恐縮です。わが村は小さな鉱山集落に過ぎませんが、できる限りのおもてなしを」
俺は馬から降りると、ボーゼスに向かってうなずいた。
「視察に来たのだ。この地で採れる鉱石について詳しく聞きたい」
ボーゼスの顔に一瞬、陰りが走った。
「はっ……それでは、宿舎にご案内します」
ボーゼスは歩き出した。
宿舎は、集落で最も大きな石造りの建物だった。
内部は質素ながらも清潔に保たれている。
火の焚かれていない暖炉があった。
ボーゼスの指示で茶が運ばれてくる。
ボーゼスは話し始めた。
「陛下。実はこの鉱山には大きな問題を抱えております」
「ほう」
「三年前から鉱山の中層に、とある魔物がのさばるようになってしまったのです」
俺はゆっくりと茶を口に含んだ。
「その魔物の詳細を聞かせろ」
ボーゼスはうなずき、重いため息をつきながら説明した。
「グラドベヒーモス……赤い獣の姿をした、巨大な魔物です」
「グラドベヒーモス」
俺の記憶にヒットするものがあった。
ゲームでも知られた強敵モンスターだったからだ。




