表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
219/262

第6章208話:刺客


数日後。


港町みなとまちを離れた俺は、王都からやや離れた山道やまみちを進んでいた。


この日は山間にある小さな街を訪れる予定である。


街では特産の木材が産出され、建築に欠かせない素材として重宝されている。


俺は山道の美しさに目を奪われながら、ゆっくりと馬を進めていた。


「やはり自然をゆくのは気持ちがいいな」


俺は空を見上げる。


さわやかな山の空気を胸いっぱいに吸い込む。


山鳥やまどりのさえずりと葉擦はずれの音だけが聞こえる静けさが、心を落ち着かせた。


馬上ばじょうから見下ろす谷間たにまの景色は絶景だった。


遠くには森が広がり、その向こうには川のきらめきが見える。


山の斜面には岩肌いわはだが露出し、日光を受けて輝いていた。


(あと半日もすれば街に着く。それまでは、穏やかな自然の景色でも楽しむとするか)


俺は持参していた地図を確認しながら、道を進んでいく。


山道は次第に狭くなり、両側には切り立った岩壁が迫ってきた。


馬はゆっくりと慎重に歩を進めていた。


――――突然、俺は違和感を覚えた。


周囲の空気がかすかに変わったのだ。


鳥のさえずりが止み、不自然な静けさが辺りを包んでいた。


直感が警告を発する。


(……何かいるな)


と俺は心の中でつぶやいた。


次の瞬間。


岩のかげから黒い影が飛び出した。


「死ね!!」


黒装束くろしょうぞくの暗殺者が、刃を手に跳びかかってきた。


刃には毒が塗られているのか、緑色の液体に濡れている。


しかし俺はサイコキネシスの防護膜を展開していた。


ゆえに刃は、その見えない障壁に阻まれ、俺の肉体に届くことはなかった。


「なっ……!?」


暗殺者が驚きの声を上げた瞬間、俺は冷静に反撃に出た。


サイコキネシスで暗殺者の身体をちゅうに浮かせ、近くの樹木に叩きつける。


暗殺者は苦悶の声を上げ、倒れこんだ。


(一人じゃないだろうな)


と俺は推測する。


その予感は的中した。


周囲の岩陰から次々と黒装束の男たちが姿をあらわす。


素早い動き。


手に持つ武器はさまざまだ。


短剣。


毒針。


鎖縄くさりなわ


どれも暗殺のプロが使う道具ばかりである。


(『影の使者』か……)


と俺は推定する。


ゲーム知識からして、おそらくこいつらは『影の使者』の一団だろう。


彼らの中の一人、リーダーと思われる男が前に出て、告げた。


「お前の命をいただきにきた」


俺は馬から降りた。


「貴族どもが雇ったのか?」


「我々は雇い主の名を明かさない。ただ、お前をよく思わない者たちからの依頼だ」


「なるほど」


俺は不敵に微笑んだ。


「俺を討てると思うならば、試してみるといい」


暗殺者たちは瞬時に散開し、連携した動きで俺を取り囲んだ。


彼らの動きには無駄がなく、まるで長年、共に戦ってきた精鋭部隊のようである。


最初の攻撃は四方から同時に仕掛けられた。


投げナイフが空気を切り裂き、毒矢が放たれ、縄が広げられた。


しかし、どれも俺のサイコキネシスの前では無力だった。


俺は指一本ゆびいっぽん動かすことなく、全ての攻撃を空中で停止させた。


「なんだ……この力は」


暗殺者のリーダーが驚愕の声を上げた。


俺は無言で手を前に伸ばした。


すると停止していた武器が全て、暗殺者たちに向きを変え、逆方向へと飛んでいく。


暗殺者たちは武器を避けようと散開したが、動きの遅い者は自らの武器に傷つけられた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ