第6章190話:祝福
翌日。
朝。
俺はさっそく国の資料を読むことにした。
読みたい資料はいろいろある。
国庫に関する書類。
国家予算関連の書類。
国の台帳。
貿易に関する決算書、明細書。
条約や法などを記した法典。
……などである。
こうした資料は、王城の【資料室】に保管されている。
ゆえに俺は資料室にこもって、ひたすら書類に目を通すことにした。
資料室は、図書館のような部屋だ。
俺の他には誰もいない。
静かなものである。
――――5時間が経過する。
身体が凝ってきたので、俺はテーブルを立ち上がる。
しばしストレッチをすることにした。
そのときだった。
ふいに視線を感じて、振り返る。
「……!」
そこに立っていたのは一人の女性。
戦士精霊セラフィナであった。
「国王になれたようね」
とセラフィナが言ってきた。
「ああ。グラストンに負けることはないからな」
と答えつつ、俺は尋ねた。
「で、何しに来た?」
「今日は、祝福を授けてあげようと思って来たのよ。あなたが国王になったお祝いとして」
祝福……
俺は首をかしげる。
「そういえば、その祝福という言葉について、詳しく聞いてなかったな。いったいどういう能力なんだ?」
「授かってみれば、わかるわよ」
セラフィナが右手を伸ばしてきた。
人差し指を向けてくる。
その指先に光が集中した。
「お、おい……」
俺は警戒した。
しかし、すぐに俺は祝福というものを理解した。
頭に以下のような情報が流れてきたからだ。
◆◆◆
【セラフィナの祝福】
戦士精霊セラフィナによる祝福。
以下の効果を得られる。
・一度だけ死ぬ攻撃を耐えることができる
・精神系の魔法を無効化できる(魅惑、幻覚、洗脳等)
◆◆◆
……なるほど。
ゲームで『精霊契約』と呼ばれていたシステムだ。
特定の精霊と契約することで、その精霊から特典をもらえるシステム。
――――ステータスがアップしたり。
――――バフスキルをもらえたり。
――――経験値取得量2倍とか、金銭ドロップ率2倍とか。
そういう特典だ。
セラフィナの祝福は、どうやら常に発動する【常在バフ】らしい。
死を一度だけ回避できる能力と、精神系魔法を無効化する能力。
めちゃくちゃ強力だぞ。




