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第5章183話:国王決定戦4


「この状態になったのは10年ぶりだ。俺をその気にさせたお前には、賞賛を送ろう」


とグラストンは告げる。


「だがお前の快進撃かいしんげきはここまでだ。ここからは俺が一方的に、お前を蹂躙じゅうりんする」


そしてグラストンは、突撃してきた。


手指てゆびを、たか鉤爪かぎづめのように丸めて掌底しょうていを放ってくる。


俺は回避する。


しかしグラストンが追撃の回し蹴りを放ってきた。


思ったより速く、俺は回避が間に合わなかったので、両腕りょううでをクロスしてガードした。


「……ッ!」


グラストンの回し蹴りが俺の腕にヒットする。


蹴りの威力を殺しきれず、ザザザッ、と俺は後退させられた。


(ほう……)


サイコキネシスで防御していても、後退させられるほどの威力。


俺はグラストンの攻撃力に感心した。


「ぬぉおおおおおおおおおああああああ!!」


グラストンが野獣やじゅうのごとく咆哮ほうこうしながら、高く跳躍ちょうやくする。


両手の指を組んで、上段から振り下ろしてくる。


その攻撃から逃れるように、俺はローリングしながら避けた。


次の瞬間。


グラストンの振り下ろし攻撃が地面に直撃し―――――


ズドォオオオオオオンッ!!!


と轟音を上げて、地面が陥没した。


風圧と砂塵が吹き荒れる。


「ドラァアアアッ!!」


その砂塵を突き破ってグラストンが俺に接近し、殴りかかってきた。


「ドラッ!! ドラッ!! グォオラアアアアアアアッ!!!」


グラストンが凄まじい拳の連打を放ってくる。


野獣のごとく。


獅子ししのごとく。


戦鬼せんきのごとく。


血と汗をほとばしらせながら、グラストンが襲い掛かってくる。


「ヅァアアアアアアイッ!!!」


炸裂するメガトン級のパンチ。


超絶筋肉ちょうぜつきんにくによる猛獣もうじゅうのごとき攻撃。


美しさの欠片もない。


泥臭どろくさくても、血生臭ちなまぐさくても、敵を打ち砕き、噛み砕き、勝利をもぎ取ろうとするスタイルだ。


(こいつ……強いな)


グラストンのことは正直、嫌いだ。


だが……


グラストンは強い。


サイコキネシスの守りがある俺に攻撃を叩き込んで、後退させるほどの威力。


だが。


「シッ――――!」


「ぬぐっ!!?」


俺のカウンターのパンチが、グラストンの腹に突き刺さる。


グラストンが痛みに顔をしかめた。


「舐めるなァッ!!」


グラストンが吠える。


圧倒的な筋肉量と重量から、高威力こういりょくのパンチを繰り出す。


しかし俺はパンチをさばいて、カウンターのキックを食らわす。


「ぬうううう!?」


――――グラストンは強い。


だが。


「ぐはっ!?」


それでも。


「あがっ!?」


サイコキネシスには敵わないということを。


「ぐぶばぁっ!!?」


刻み付けるように。


「がああああぁぁああっ!!?」


念力格闘術による打撃を、グラストンに浴びせる。


打撃の連打を叩き込み続ける。


グラストンがたたらを踏んで、口元に流れる血をぬぐった。


「はぁ……はぁ……はぁ……馬鹿な!! ここまでやっても、及ばないというのか!?」


グラストンが焦りと冷や汗を浮かべていた。


「お前は何だ!? お前の強さは、常軌じょうきいっしている!! 【闘気状態とうきじょうたい】になった俺を、こうも容易たやすく打ちのめすなど……有り得ない!!」


とグラストンは叫ぶように言ってくる。






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