表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

184/216

第5章173話:戦士精霊2


「何故、俺に攻撃を仕掛けた?」


と俺は尋ねた。


「あなたは裁判を1時間で終わらせたでしょう?」


「……? それがなんだ?」


「裁判は必ず2時間以上、おこなわなければならないと、あたしが決めたのよ。そのルールを破った者には天罰てんばつくだすことにしているの」


ふむ……


そういえばハイドラ卿が、裁判前さいばんまえに宣言していたか。


俺はハイドラ卿のセリフを思い出す。




『ベルナダ武人国における裁判は、必ず、2時間おこなわれる。裁判時間は、最低でも2時間以上とすべし……という掟が、精霊によって定められているからだ』




あれは冗談で言っていたわけではなく、本当だったらしい。


「なるほどな。つまり……これが天罰だと」


精霊セラフィナが俺に殴りかかってきたのは、裁判時間を2時間未満で終わらせた罰ということか。


「ええ、そうよ」


「……ならば、どうする? 天罰を続けるか?」


と俺は尋ねた。


即座に空間切断の準備をしておく。


しかし。


「いいえ。そのつもりはないわ」


とセラフィナが否定した。


「……気が変わったのか。何故だ?」


「あたしの攻撃を受けきる人間だったなんてわかったら、殺す気も失せるわよ。むしろ、あなたに興味が湧いてしまったわ」


興味……


俺は怪訝そうにセラフィナを見つめる。


セラフィナは、物憂げな表情を浮かべた。


「あなたは王を目指している」


そう前置きをして、セラフィナは語る。


「今の国王はつまらない。アレはそこそこ人間の中では強いけど、中身は欲にまみれている。あのように精神の卑俗ひぞくな国王に、あたしは祝福を授けたいとは思わない」


祝福……というものが何なのかはわからない。


ただセラフィナがグラストン国王を嫌っていることはわかった。


「だから、あなたが国王になりなさい。あたしは、ベルナダの新国王となったあなたが欲しいわ」


「まるで告白だな。俺のきさきにでもなるつもりか?」


「ふふふ。それも面白いかもしれないわね?」


まんざらでもなさそうなのが怖いな。


初対面でやたら興味を持たれてしまったようだが、それがきちと出るのかきょうと出るのか、俺には判断がつかない。


「あなたのゆく道を、精霊として祝福してあげるわ。とりあえず、国王決定戦を終わらせなさい。あなたならば、グラストンに圧勝できるでしょう?」


「そうだな」


俺は断言する。


グラストンに負けることなど、万に一つも有り得ないだろう。


いただきの強さを見せ付けなさい。あたしは、新しい玉座ぎょくざであなたを待っているわ」


そう述べて、セラフィナが去っていった。


俺は、闘技場へ向かうのだった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ