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第5章169話:裁判7


絶望に打ちひしがれるハイドラ卿。


俺はクククと笑う。


「俺に喧嘩を売ったことを後悔したか? だが、もう遅いぞ」


「!!」


「最後の仕上げといこう。――――裁判を再開する!!」


と俺は宣言した。


まるで劇場でうたうように、演説するかのように、続ける。


「今回、王都で起こったとされる殺人事件の犯人は、俺ではなかった。では真犯人は誰か?」


俺の言葉に、ハイドラ卿が、何かを察したように目を見開く。


俺は三日月みかづきの笑みを浮かべながら、宣告した。


「俺は、ハイドラ卿こそが真犯人であると考える!」


そもそも殺人事件なんて、本当に起こったのかどうかわからない。


ハイドラ卿が俺をおとしいれるために作り上げた虚構の事件かもしれない。


だが、そんなことはどうでもいい。


殺人事件は存在したという前提で、俺はハイドラ卿を犯人へと仕立て上げる。


ハイドラ卿がわなわなと震え始める。


「裁判官の諸君、いかがかな?」


と俺は尋ねた。


「そうだな」


「アンリの言う通りよ」


「ハイドラ卿が犯人だ」


「ハイドラ卿こそ殺人犯だ!」


裁判官たちが口々に賛同する。


ハイドラ卿が叫んだ。


「ば、馬鹿を言うな! 私は殺人犯などではない! そもそも、直近で王都では殺人事件は起こっていない! 正直に言う。私がでっちあげた事件だ!!」


とハイドラ卿が、虚構の殺人事件であることを白状した。


だが俺は否定した。


「いいや。――――殺人事件は起こった! 確かに発生したのだッ!! この王都でッッッ!!」


盛大に。


うたうように。


ハイドラ卿に言い聞かせる。


殺人事件が"発生したことにする"のだと―――――俺は無慈悲に宣告する。


そして俺は裁判官に問いかける。


「ハイドラ卿は殺人をおかした。こんな悪質な貴族は死刑にしょすのが妥当だと考えるが……裁判官の諸君。いかがか?」


「ああ、死刑が妥当だ」


「死刑にすべきだ!」


「死刑よ!」


「死刑!」


「死刑!」


「死刑ィ……ッ!!!」


裁判官たちが全員、死罪が妥当であると賛成する。


ハイドラ卿が絶望に震えながら、くちびるをかみ締めている。






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