第2章18話:自己分析
<アンリ視点>
ガレイン岩山を下りたあと。
俺は草原を歩き、森を歩き……
岩壁のうえに躍り出た。
崖のうえにたたずむ。
眼下には森と、森を流れる河川が広がっている。
ここで、俺は現状を確認することにした。
いままで起きたことの振り返りと分析。
そしてサイコキネシスについて、いったん整理しておきたい。
まず……
俺の性格について。
・俺の人格は結構なレベルでアンリの影響を受けている。性格が攻撃的かつ高圧的になっている。
・ただし前世の人格の影響もあり、凶悪というほどに振り切っているわけではない。
以上のことが言える。
デレクやゴルドルと戦ったとき、俺は自分の性格が威圧的になっていることを自覚していた。
他者を見下し、あざけるのはアンリの性格だ。
しかし、ゲームほど悪役貴族に振り切っているわけではない。
それは前世の気弱な性格のおかげである。
(前世の俺と、アンリになった俺とで、性格が中和されているんだな)
と俺は結論づける。
さて、続いて確認したいのはサイコキネシスについて。
ゲームにおいてサイコキネシスは以下のような要素を持っていた。
・魔法でもなく、スキルでもない。強いて分類するなら【異能】である。
・サイコキネシスは、神にすらダメージを与えることができる究極の異能力である。
・サイコキネシスは封印無効である。魔法封印、スキル封印などを食らっても封印されない。
以上である。
サイコキネシスは物体操作が基本だが、物を浮遊させたり、空間を圧縮させたりもできる。
自分を宙に浮かすこともできる。
かなり万能だ。
そして言うまでもなく、強い。
サイコキネシスは神や精霊すらも殺しうる無敵の能力だ。
強靭な戦闘力を持つ勇者だろうが、鉄壁の聖域を展開できる聖女だろうが……関係ない。
全てを破壊し、全てを殺すことが出来る――――
それがサイコキネシスだ。