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第5章151話:手紙の主

王都の西門を出る。


高原の野原を歩く。


ちなみに『一人で来い』と手紙に指示されていたので、ノルドゥーラは宿でお留守番るすばんだ。


まっすぐ野原のはらを歩くと、森にたどりつく。


――――西の森。


鬱蒼うっそうしげった森だ。


手紙を送った主がどこにいるのかわからない。


茂みに隠れて奇襲するには、もってこいのロケーションだと思った。


(まあ、俺に奇襲など通用せんがな)


と俺は不敵に笑う。


念の為、サイコキネシスの防護膜を入念に張っておく。


精霊ネアの攻撃を食らっても耐えた防護膜だ。


破れる者がいるなら、破ってみるがいい。


「……」


森の中を歩く。


人の気配はない。


魔物と獣の気配はある。


ときどき魔物と遭遇する。


攻撃を仕掛けてきたので、念力格闘術で蹴散けちらす。


そうして鬱蒼とした森を、俺はぐんぐん歩いていく。


やがて視界の先に光が漏れてきた。


その光の先へ進むと、草原が現れる。


森の木々に囲まれた、半径100メートルほどの草原である。


その草原の中心に、2人の人物が立っていた。


フードの男と、フードの女だ。


(ヤツらか?)


俺は目を細めて、フードの2人へ近づいていく。


近づくにつれ、フードの女が持つかごが目に留まった。


その中に猫が閉じ込められている。


ヴィシーだ。


ヤツめ……ほんとに捕まっていたとは。


ヴィシーは俺と目が合うと、籠の中でニッと笑みを浮かべた。


(ヴィシーのやつ、やはり遊んでやがるな)


俺はため息をつきそうになった。


あとでぶん殴ってやってもいいかもしれない。


「よく来た。ちゃんと一人で来たようだな」


とフードの男は言った。


「手紙で書かれていたからな」


俺は答えつつ、フードの男女を観察する。


二人とも鍛えられている。高い戦闘技術があることがうかがえる。


そして気配が薄く、呼吸が静か。


こういう特性を持った人物像じんぶつぞうに、俺は心当たりがある。


「暗殺者か?」


と俺は尋ねた。


「ご名答だ」


とフードの男が肯定する。


やはり、か。


おおかた予想通り、国の連中が背後にいるのだろう。


俺に国王になってほしくない連中が雇ったアサシンというわけだ。






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