表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

147/216

第5章136話:あいさつ

『まずは準決勝・第1試合。アンリ選手とディオネ選手の対決となります』


「「「「いぇえええええええええああああああああああああああああ!!!!」」」」




歓声が巻き起こる。


ディオネ……


それが俺の準決勝の相手らしい。


名前からすると女かもしれない。




『それでは選手の方々、入場してください!』




司会者のアナウンスのあと。


俺の眼前にあった鉄格子てつごうしの幕が上がった。


いよいよ入場だ。


俺は歩き出す。


対岸の選手入場口せんしゅにゅうじょうぐちからは、俺の対戦相手となる選手――――ディオネが歩いてきていた。


髪は赤色のロングヘア。


瞳の色も赤色。


なんといっても目を見張るのは、その巨体。


身長230センチはあるだろう。


高さだけではない。


横幅よこはばもある。


筋肉が完全にゴリラなのだ。


たとえば上腕じょうわんの筋肉も、俺の5倍は太いだろう。


さらにスポブラ・スパッツのような衣装を着ており、非常にラフな格好なので、鍛え上げられた肉体の大部分が露出している。


二刀流にとうりゅうなのか、二本の長大な剣を持っていた。


(パワータイプか……)


と俺は推定する。


俺とディオネは20メートルの距離をあけて、立ち止まった。


司会の女が横に立つ。


女司会者おんなしかいしゃは言った。


『それでは選手入場せんしゅにゅうじょうが完了いたしましたので、試合を開始したいところですが、その前に――――――まずは両選手りょうせんしゅにあいさつをしていただきましょう!』


そう女司会者は前置きして、俺に近づいてきた。


『まずはアンリ選手、お願いします!』


声を拡大するアイテム【拡声かくせい魔石ませき】を差し出してくる。


俺は魔石を受け取った。


あいさつか……


考えていなかったな。


まあアドリブでいいだろう。


俺は【拡声の魔石】に魔力を込めつつ、あいさつを開始する。


「はじめまして諸君。俺が次期国王じきこくおうとなる戦士――――アンリだ」


拡大された声が闘技場に響き渡る。


「現在のベルナダ武人国ぶじんこく国王こくおうは、国とは何たるかを全く理解していない。何より弱い。ゆえに俺が王権おうけんを打倒する。そしてこの国を、俺の色で染める」


他国でこんなことを言ったら、国家反逆罪で死刑にもなりえるような演説だ。


しかし観客たちは、堂々たる国王こくおう打倒だとうの宣言に盛り上がる。


「お前たち観客は、次の王となる俺の戦いぶりを、その目に焼きつけよ。そして、しかと認識するがいい―――――俺こそが最強の戦士であることをな」


「「「「うおおおおおおおおおぉおおおおおおっ!!!」」」


いっそ強気すぎる宣言に、観客は大歓声だいかんせいである。


観客たちは口々に言う。


「いいぞ!」


「俺はお前を応援するぜ!」


「素敵なあいさつじゃない?」


「国王なんてぶっ潰せ!!」


「やっちまいな!!」


「期待してるぜ!!」


おそらくベルナダ武人国は、強気なあいさつのほうが好きだ。


歓声と拍手喝采はくしゅかっさいで、盛り上がっている。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ