第5章130話:次々と叩きのめす
坊主男の頚動脈が締まる。
「が……あ……っ」
苦しそうにする坊主男。
ジタバタもがいたり、蹴りを放ってきたりする。
俺は思った。
(首を締め落とすのは、意外に難しいな)
頚動脈を締めて気絶に追い込むのは時間がかかる。
そう判断した俺は、サイコキネシスで坊主男の脳をゆさぶり、脳震盪で気絶に追い込んだ。
「―――――――ッ」
坊主男が白目を向いて、脱力する。
落ちたようだ。
俺は坊主男をゴミのように投げ捨てる。
「さて」
そろそろ、こちらから選手を潰しにかかるか……と思ったとき。
「次はあたしの相手をしな?」
「……!」
いきなり女が背中から斬りかかってきた。
ファルシオンを持った女である。
俺は上体を曲げて背後からの攻撃をかわしつつ――――
素早く後ろ蹴りを放つ。
「っ!?」
まさか避けられるだけでなく、反撃までされると思ってなかったのだろう―――――女は防御が遅れて、みぞおちに蹴りを食らう。
「くふっ!?」
よたよたと後ろによろめきながら後退する。
ファルシオンの女は冷や汗を浮かべながらつぶやく。
「まじかよこいつ……あたしの攻撃をかわしつつ、反撃まで……!?」
彼女は驚いていたが、俺もまた感心していた。
今の蹴り一発で倒すつもりだったのだが……女がピンピンしているからだ。
俺は言った。
「くくく。俺の蹴りを食らっても沈まないとは大したものだ」
すると女は吐き捨てるように言い返してきた。
「はンッ!! そんなショボくさいキックで、あたしが倒れるかよ!? 舐めンな!」
「そうか」
と俺は笑う。
「ならば少し威力をあげよう」
そして再度、蹴りを放つ。
今度は女のあごとこめかみを狙い打つハイキック。
女は避けられず、まともに食らった。
「かっ―――――――――――」
「沈め」
と俺は告げてから、さらに女にアッパーカットを食らわした。
「うぐぶっ!!?」
あごにアッパーカットがクリーンヒットし、さすがに女は白目をむく。
そのままふらりとよろめき、糸が切れたように倒れた。
「……次だ」
俺は他の選手たちを潰しにいくため、歩き始めた。
とりあえず一番近くにいた鎌使いの女に近づき、拳を叩き込む。
「ぐばっ!?」
次に剣士の男を蹴り潰す。
「があっ!?」
1回戦の開始前に言い争っていた女ファイターと、肥満男性がいた。
もちろんぶっ潰す。
「うぐっ!?」
「あがぁっ!!?」
女ファイターには蹴りを、肥満男性には拳を叩き込んで瞬殺した。
「な、なんだこいつ……!?」
「強えぞ!?」
と俺の戦いぶりを見て、驚いている二人組がいた。
もちろんその二人も殴り倒して、気絶させる。
「お……?」
白熱している場所があった。
2人の戦士が戦っている。
バトルアックスを持つ女の斧戦士。
鉈の男戦士。
以上の2名である。
傍から見ているだけでも、レベルの高さがうかがえる。
俺は乱入することにした。
横から割り込むように、鉈の男戦士に向かって、掴みかかり、みぞおちに拳を叩き込んだ。
「がはっ!!?」
さらに二発。三発。
四発とみぞおちを殴ってから、最後に顔面をぶん殴って倒す。
これで撃沈だ。
俺が乱入してきたことに一瞬、呆けている斧戦士だったが、すぐに憤怒の気持ちをぶつけてきた。
「いきなり何ですのあなた!? 正々堂々たる勝負に割り込んで、横から不意打ちなんて卑怯ですわよ!」
お嬢様口調である。
金髪、緑の瞳。
どこかのご令嬢かもしれない。
「くく。戦場に卑怯などあるものか」
と俺は笑いながら、その斧戦士のご令嬢に近づいた。