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第5章129話:脱落

そして1分後。


わずか1分という短時間のあいだに、選手の8割が脱落していた。


残った選手は50人ほどだ。


なんとか生き残った者たちは、魔導師たちに強い怒りを抱いていた。


「よくも好き放題やってくれたな!!」


「絶対許さねえ!」


「魔導師どもをぶっ殺せ!!」


「ボコボコにしてやるわ!!」


魔導師たちが大暴おおあばれする初動は終了―――――


次のフェーズは、生き残った者たちによる魔導師まどうしだたきだ。


「オラ、死ねや!!」


「ぐがっ!!? テ、テメエら、よってたかって卑怯ひきょうだぞ!?」


「何が卑怯だよボケカス!! さんざん暴れてくれやがってよォ!! お礼にハンマーでぶん殴ってやる。もらっときな!!」


「あがっ!!? やめ、やめろ!! うああああああああっ!!?」


戦士たちが魔導師たちを取り囲んで、ボコボコにし始めた。


さらに選手が脱落していく。


ちなみに『殺す』とか『死ね』といった過激な言葉が飛び交うが、本当に殺したら反則なので、実際は急所を外しての攻撃である。


……まあ何人か死んでいる可能性もあるが。


(ともかく、何もしなくても数が減るのはラクでいいな)


――――1回戦は最後の1人になるまで生き残れば勝ちである。


勝ち方は問われていない。


ならば、わざわざ戦いに参加しなくても、周りが勝手に潰しあってくれるのを傍観ぼうかんしていればいいのだ。


そして最後に漁夫ぎょふを得れば、1回戦は突破できる。


周囲を見ると、俺と同じように状況を静観せいかんしている者が何人かいる。


きっと俺と同じ戦略だろう。


……やがて。


戦士たちが魔導師を倒し尽くした。


残ったのは30名ほど。


その戦士たちは、次に、静観していた俺たちへと矛先ほこさきを向けてくる。


「ねえ、あなたたち……ずっと戦わないで傍観ぼうかんしてたわよね?」


「自分らは戦わず、1回戦を勝ち抜けようってのか? 卑怯な連中だな」


「そんな情けない戦士は王には向かない。ここでぶっ潰してやる!」


魔導師と戦っていた戦士たちが、いきり立っていた。


その矛先は、俺にも向いた。


「おい卑怯者ひきょうもの


と声をかけてくる男がいた。


頭を坊主ぼうずにした男だ。


両手にガントレットを身につけている。


「卑怯者とは、俺のことか?」


と俺は問い返す。


「そうだぜ。ずっと傍観してばかりで、一切戦わない。そんなんで1回戦を突破したとして、嬉しいのかよ?」


「ああ、嬉しいとも」


と俺は即答した。


すると坊主男ぼうずおとこは吐き捨てるように言った。


「カスが。ぶっ殺してやる!!」


そして地を蹴り、接近してきた。


滑るような足取あしどりで俺に接近し、ガントレットの拳を振りかぶる。


だが―――――


俺は、その坊主男ぼうずおとこのタイミングに合わせるように、前進する。


そして坊主男ぼうずおとこの首を、右手でつかんだ。


「うぐっ!!?」


坊主男ぼうずおとこは、首をつかむ俺の腕を、ガントレットの手で振りほどこうとする。


だがサイコキネシスによって強化された俺の腕力を、坊主男ぼうずおとこは振り払うことができない。


俺は言った。


「なぜ戦わずして勝つことが嬉しいのか、教えてやろうか? ――――お前のような雑魚を、いちいち相手にせずに済むからだ」


「ぐ、ぐう……!!」


「しかし静観せいかんするのも飽きてきたころだ。ウォーミングアップとして、まずはお前からひねり潰してやろう」


俺は、首を絞める指に力を込めた。






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