第5章126話:ルールと集合
さらに俺は、対戦のルールを確認する。
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総合闘技大会では対戦相手を殺害してはいけない。
ただし国王決定戦だけは例外である。
「命賭けの戦いを制した者が、国王になるべき」という方針のもと
国王決定戦では、対戦者となる二人のどちらかが死ぬまで戦いは続く。
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総合闘技大会は全国から強者が集まるので、殺し合いをしてしまうと、強い戦士が失われ、人材の損失になる。
したがって1回戦~3回戦までは「対戦相手を殺してはいけない」という規定が設けられている。
戦闘不能に追い込むか、気絶させるか、降参宣言をさせることで勝敗が確定するらしい。
―――――ただし【国王決定戦】だけは別。
国王決定戦では、大会優勝者と現国王が戦い合うことになるが、どちらかが死ぬまで戦いは続く。
つまり完全な殺し合いであり、必ず対戦相手を殺害しなければならない。
ここに人材の損失を憂慮する考えはない。
合理的ではないが、戦士としての魂を重んじる側面がよく現れている。
「……」
俺は読み終わって、パタッとルールブックを閉じた。
ふとバルコニーの外――――ベルナダ王都の街並みへと視線を向ける。
(半月後、この国は俺のものになる)
それは予言や願望ではなく、確信だ。
俺が敗北することなど、万に一つも有り得ない。
そして。
宿でのんびりと時を過ごすこと半月後。
大会当日がやってくる。
午前8時。
正門前に集合した選手たち。
国王を目指すために、全国からやってきた猛者たち。
ギラギラした連中が多く、熱気が高い。
人数は1000人近くいるようだ。
その中の1人が俺である。
なお、ノルドゥーラとヴィシーは宿にて留守番だ。
「これより、総合闘技大会を開始する!」
と役人らしき女が宣言した。
【拡声の魔石】によって声を拡大している。
ゆえに彼女の声は、この場にいる全員に響き渡る。
「まずは武器と防具を配布する。全て新品だ。更衣所にて着替えを済ませ、戻ってくるがいい」
総合闘技大会では、自分で用意してきた武具や衣服は使わない。
大会側が用意した武器と防具を使用することになっている。
これは装備の性能で差がつくことを防ぎ、純粋な戦闘能力のみで勝負させる目的だ。
俺も当然、着替えることになる。
―――――数十分後。
着替えが終わった選手たちが、ふたたび外に集結した。
俺の衣服は、戦闘装束である。
上半身は黒インナーのうえに革の胸当てをつける。
下半身はズボンだ。
念力格闘術による徒手空拳を活かせる、身体にフィットした衣服。
役人らしき女が告げる。
「今回、総合闘技大会に参加する選手の数は1200人ほどいる。これをざっくり4つのグループへと分ける」
第一グループ。
第二グループ。
第三グループ。
第四グループ。
四つのグループに振り分けられる。
俺は第三グループに配属された。
ちなみに第三グループは300人ほどだ。