第4章121話:ダンジョンを出る
「さて……あとはもう一つの扉だな」
宝部屋の横の壁。
そこは封印の魔法陣が描かれた扉があった。
「ここの宝もいただいておこう」
俺は扉に向かって【スレネの鍵】をかざす。
すると、封印の魔法陣が光りかがやき、魔法陣がぱらぱらと紙吹雪のごとく溶けていく。
やがて魔法陣が消失し、そこにはただ扉だけがあった。
俺は扉を両手で押し開ける。
宝箱があった。
その宝箱を開けると、赤色の鉱石が入っていた。
スキル石である。
使用することでスキルを得られる鉱石。
スキル石は、額に当てることで、どんなスキルを獲得できるのかがわかる。
俺は額に押し当てる。
◆◆◆
【上級鑑定のスキル石】
上級鑑定をおこなうことができる。
上級鑑定をおこなうときは、対象に向かって「鑑定」と唱える。
◆◆◆
上級鑑定……
通常の鑑定スキルでは、ランクの低いものしか鑑定できない。
たとえば高ランクダンジョンで入手できたアイテムや武具などは、鑑定不可能である。
しかし【上級鑑定】スキルでは、高ランクのアイテムなども鑑定可能となる。
俺はさっそく、スキル石を使う。
スキル石を使用するときは、石を手に持ち、魔力を送り込む。
「……ッ」
俺の身体に赤色のオーラがあふれる。
スキルの習得時に発生するエフェクトである。
試しに使ってみよう。
俺はスキル石が入っていた宝箱を鑑定した。
◆◆◆
【空の宝箱】
中には何も入っていない。
◆◆◆
よし。
鑑定はできているようだ。
(これで、俺は鑑定スキルも手に入れることができた)
転移魔法。
アイテムボックス。
鑑定スキル。
異世界の攻略において重要なものが、次々と揃っていく。
そして、次は何を手に入れるかも、もう決めてある。
「さて、用は済んだ。外に出るか。面倒だから入り口まで"飛ぶ"ぞ」
と俺は告げた。
するとヴィシーが尋ねてくる。
「飛ぶ、とは?」
「転移するということだ」
「ニャ?」
「まあ、見ていろ」
俺は転移魔法を発動する。
次の瞬間。
景色がみるみる移り変わり、宝部屋から、【リュドラウスの大断崖】天頂へとワープしていた。
リュドラウスダンジョン入り口の階段が、眼前に存在する。
ヴィシーが目を丸くする。
「ニャニャニャ!!? て、転移したニャ!??」
「俺はこの通り、転移魔法が使える。一度行った場所は、どこでもいくことができるのだ」
「すごすぎるニャ!? お前、いったいなんなのニャ!!?」
とヴィシーが仰天していた。