第4章111話:ダンジョン2
ガーフィンケルの斬撃。
あわやノルドゥーラが斬撃を食らいそうになる。
が、ノルドゥーラはなんとかバックステップをして、自力で回避した。
ガーフィンケルが空振る。
「ふう……強い魔物じゃな。しかし刃竜を舐めてもらっては困る」
ノルドゥーラが深呼吸をして集中力を高める。
――――剣を構えたガーフィンケルが踏み込む。
俊敏な動きで、即座にノルドゥーラの間合いに踏み込んだガーフィンケルが、くるりと廻って回転斬りを放った。
しかしノルドゥーラが槍を振り、ガーフィンケルの回転斬りに、己の斬撃をぶち当てる。
「!!」
一瞬、ガーフィンケルの動きが止まる。
そこにノルドゥーラが斬風を発射した。
ガーフィンケルに直撃し、その鎧と肉体が寸断される。
決着である。
「ふむ。さすがにこの程度の敵は倒せるか」
「当然……と言いたいところじゃが、思ったより強かったのう。一瞬ひやりとさせられたわ」
首を狙った斬撃のことを言っているのだろう。
ただ、アレも一撃ぐらいは耐えただろう。
ノルドゥーラは人間ではないので、頚動脈にダメージを受けても、ただちに致命傷となるわけではない。
さすがに首をハネられたら死ぬ……が、ガーフィンケルの攻撃で骨まで断たれることはなかったと思われる。
俺は言った。
「ともかく第1層でもこの強さだ。下層にいけば、より強い魔物がおり、膨大な経験値が期待できる」
「……たしかに、最初の階層でコレならば、下層の魔物は経験値が多いじゃろうな」
とノルドゥーラも納得した。
「というわけで、まずは下層までいくぞ。道中の敵は、お前が全て処理しろ」
「全てじゃと? 無茶を言うな」
「安心しろ。サイコキネシスで支援をしてやる」
と俺は言いつつ、歩き出した。
ノルドゥーラも後に続く。
ダンジョンの奥へと進んでいく。
道中で出会った魔物は、まず、俺のサイコキネシスで動きを止める。
そうして動けなくなった魔物を、ノルドゥーラが霊槍で仕留める。
この連携ならば、ノルドゥーラが窮地に陥ることもなく、安全に魔物を仕留めていける。
やがて第1層の終点である階段が現れる。
ノルドゥーラがつぶやく。
「もう1層突破か」
「ああ。どんどん下りるぞ」
俺は言って、第2層への階段を下りる。
そうして第5層まで一気に進んでいく。
第5層からは中層にさしかかる。
HPが高く、防御力も硬い魔物が多いが……
ノルドゥーラが使う霊槍ネリスヴォルンは精霊武器だ。
さすがに精霊の槍を前には、高ランクダンジョンといえど大抵の魔物が瞬殺である。