第1章12話:憤怒
俺の言葉に、赤髪の男が顔をしかめた。
「虐殺する……だと?」
さらに赤髪の男が続ける。
「軽いパンチを一発止めただけで、粋がってんじゃねえぞ! テメエごときに、俺らが殺れると思ってんのか!?」
「当然だ」
と俺は即答する。
さらに俺は告げた。
「俺が敗北する可能性など、万に一つも有り得ない。……ま、実際に試してみればわかることだ」
すると赤髪の男がビキビキと血管を浮き上がらせた。
背中に背負っていた戦斧を、両手に持つ。
戦意をにじませながら、男は告げる。
「上等だ……ならばオレ様のバトルアックスで、斬り殺してやる。後悔しても遅いぞ」
その言葉に、俺は以下のように答える。
「御託はいい。さっさとかかってこい」
「……ッ!!」
赤髪の男の血管がぶちぎれた。
バトルアックスを振りかぶってくる。
「ラァアアッ!!!」
剛風をまとったバトルアックスが、俺の頭上に振り下ろされる。
俺はバトルアックスに向かって、手をかざしながら、サイコキネシスを発動した。
するとバトルアックスが、その場にぴたっと制止する。
「ぬッ!!?」
赤髪の男が目を見開いた。
俺はフン、と鼻を鳴らしてから告げた。
「どうした? 自慢の斧が止まってるぞ? 振り下ろしてこないのか?」
「テ、テメエッ……!!」
男が憤怒の形相を浮かべて、目を血走らせる。
筋肉を膨張させるほどに力んで、なんとかバトルアックスを動かそうとするが……
サイコキネシスで止められたバトルアックスは、全く動かない。
「ぐ、ぎぎ……くそ、なんで動かねえ!」
赤髪の男は歯ぎしりした。