第4章106話:暴れる二人
ノルドゥーラのほうも暴れていた。
「ふっ!!」
上段から拳を振り下ろす。
まるでハンマーのごとき一撃が男盗賊の頭に叩きつけられ、頭蓋をひしゃげさせて即死する。
さらにノルドゥーラは近くにいた女盗賊の頭を掴み、首と胴体を引きちぎる。
鷹の爪のごとく突き出した掌底が、男盗賊の胸から背骨を貫通する。
……豪快で、めちゃくちゃな攻撃である。
さすが人外の竜だ。
「おい。この程度のヤツらに"槍"は出すなよ」
ノルドゥーラに与えた究極の武器、霊槍ネリスヴォルン。
盗賊のような雑魚にわざわざ使わなくてよいと、注意しておく。
「わかっておるわ。むしろ雑魚すぎて、どれだけ手加減したらいいか悩んでおるところじゃ」
とノルドゥーラは、傲慢とも取れるセリフを吐きながら、当たり前のように盗賊を虐殺していく。
刃竜ノルドゥーラにとって人間を見下し、殺すなど、日常茶飯事だ。
俺という例外が一人いただけで、本来、上級竜にとって人間とは、ただただ踏み潰す存在でしかない。
「な、なんなのよこいつら……たった2人なのに、なんで倒せないの?」
と青髪の女盗賊は、冷や汗と戦慄に顔をしかめた。
一方、スキンヘッドの男盗賊は完全に恐怖に飲まれていた。
「ひ、ひぃぃいい! やっぱりダメだ、俺たちじゃあいつらには勝てねえんだ!!」
スキンヘッドの男は脱兎のごとく逃亡を始めた。
それに気づいたノルドゥーラが、スキンヘッドの男を追いかけるべく、数十メートルほど高く跳躍する。
空高く跳んだノルドゥーラが、落下してきて、スキンヘッドの男の背中に"着地"した。
「あがぁっ!!?」
いきなり背中のノルドゥーラが飛び乗ってきたことで、スキンヘッドの男は転倒した。
うつぶせになった彼に、馬乗りになったノルドゥーラが告げる。
「おい坊主。今度は逃がすと思うなよ?」
スキンヘッドの男は必死で謝罪する。
「ひっ!? すみません、すみません!! 許してくださいッ!!」
「許さん。死ね」
「あがああぁぁッッッ!!!?」
ノルドゥーラが、スキンヘッドの男の背中に掌底を放って、えぐり、貫通する。
背中から心臓をつぶされた男は、一撃で絶命した。