第4章103話:能力
竜玉によって新たな能力に覚醒したノルドゥーラ。
ややあって彼女に帯びていた光のエフェクトが収束していく。
「習得は終わったようだな」
と俺は言った。
ノルドゥーラはうなずく。
「ああ。我が得た能力は―――――【リスポーン】」
リスポーン。
復活、という意味だ。
つまり死んだときに生き返ることができる蘇生のことである。
「死んでも、一度だけ復活することができるようじゃ。素晴らしい能力じゃな!」
とノルドゥーラは感激したように言った。
さらにノルドゥーラは、得られたスキル【リスポーン】について説明する。
「ちなみに二度目の復活をおこなうためには、クールタイムが必要のようじゃ。だいたいクールタイムには1週間ほどかかるらしい」
一度だけ復活する能力ではあるが、クールタイムを終えれば、また再復活が可能になる。
24時間x7日……
つまり168時間のクールタイムを終えれば、ふたたび【リスポーン】スキルを使用可能になるということだ。
「あと、リスポーンポイントを決めることができるらしいのう」
リスポーンポイントとは、リスポーンする地点のことである。
死んだとき、どこで復活するか? というのは重要だ。
たとえば精霊に瞬殺されて死んだとき、その場で復活したとしても、また瞬殺されて終わるだけだろう。
安全な場所でリスポーンしなければ、クールタイムを終える前に二度殺されて、死が確定してしまうのだ。
俺は言った。
「リスポーンポイントは俺のそばに設定しておけ。死んだとき、俺の近くに蘇生できれば、クールタイム終了まで守ってやれる」
「うむ。そうしておこう」
ノルドゥーラはリスポーンポイントを俺の近くに設定したようだ。
これで彼女が死んだとき、復活と同時に俺の近くに転移してくる。
俺は言った。
「【リスポーン】スキルを得られたのは大きいぞ。これで最悪、お前が精霊や英雄に殺されても、復活できるチャンスが得られる。今後、強敵と戦っていくにあたって、非常に大きい保険だ。なにせ今のお前は頼りないからな。うっかり死んでも不思議ではない」
「……我に向かって『頼りない』などとほざくのは、大陸を見渡してもおぬしぐらいのものじゃろうな」
とノルドゥーラは呆れ顔で応じた。
俺は微笑みながら告げる。
「安心しろ。竜玉やレベリングを通して、お前をいずれ大陸最強のドラゴンへと進化させてやる。俺についてくればな」
「くくく。そのような大言壮語をほざくのも、大陸ではおぬしぐらいのものじゃろう。実に面白き人間よ」
「別にホラを吹いているわけではないぞ。俺は本気だ」
「ああ。大陸最強のドラゴン……おぬしが我を、そんな竜王のような存在へと導くというならば、楽しみにしていよう」
とノルドゥーラは微笑んだ。