第1章11話:宣言
赤髪の男が笑いながら言った。
「ぎゃはははははは! そうかそうか! お前がデレクを殺したんだな? よーくわかったよ――――お前が、とんでもないウソつき野郎だってことがな!」
赤髪の男が笑うのをやめ、続けて告げる。
「やっぱりお前、クズだわ。デレクに罪をでっちあげられただの、デレクを返り討ちにしただの……嘘八百並べやがって。国外追放されただけあって、人格が終わってやがる。ちぃと調教してやるよ。ボコボコに殴り倒せば、少しはその腐った性根も治るだろ」
すると青髪の女が冷たく言い放つ。
「なんならもう、殺しちゃっていいんじゃないの? デレクのアイテムバッグを盗んできたのは事実でしょ? こんなゴミ、生かしておく必要ないわよ」
盗んできたわけではなく、戦利品なのだが……
まあ、信じてもらえないだろう。
俺は説明をあきらめた。
代わりに、こう告げた。
「安心しろ。お前たちに負けるほど、俺は弱くない」
すると、赤髪の男が目を細める。
威圧感をともなう険しい顔つきで、近づいてくる。
「テメエ、自分が俺たちより格上だと思ってんのか……?」
赤髪の男が俺の眼前で立ち止まる。
そして。
「調子に乗ってんなよ、クソガキがァッ!!」
言いながら、拳を振るってきた。
直撃したら重傷も有り得るような攻撃だ。
しかし。
俺は、サイコキネシスでそのパンチの威力を減殺する。
そしてやんわりと受け止めた。
「なっ……!!?」
赤髪の男が驚愕する。
ヘラヘラ笑っていた他の3人も、目を見開いた。
赤髪の男が怒鳴るような口調で尋ねてくる。
「受け止められただと? テメエ、いま何しやがった!?」
「大したことはしていない。そんなことより――――」
と俺は前置きをして、
「いまの攻撃を、宣戦布告と受け取ろう。これより、お前たちを虐殺する」
そう宣言した。