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非日常世界へようこそ  作者: 紫音
第一閉
6/32

「輪廻新世(りんねしんせい)」

・・・あれから、どれだけ走っただろう。

「ハァ、ハァ」

アリスの体力はとっくに限界を向かえていた。

「これじゃ、・・・また、同じ。でも、・・・限界。」

アリスがばたりと倒れた。

「小娘?」

ニカルが呼びかけるも反応が無い。

「くっ!流石に無理をさせすぎたか。」

「あーっ、やっと見つけた。早く逃げないと。」

遠くの方で女性の声が聞こえた気がした。

アリスとニカルは意識を無くしてしまった。



また、夢を見た。

「暗い。寒い。憎い。」

「この世界。」

「また、作りなおしだ。」

「これで、」

ザァーっとノイズが大きくなる。


「うわぁ!!」

パッと起き上がる。

「小娘?大丈夫か?」

辺りを見渡す。

(・・・また、同じ景色?)

壁にヒビが大きく走っている。ビルのような建物。

「この感じ、前回と同じ。」

「前回?」

「忘れたの?あの時もこんなような場所であいつに襲われたでしょ。」

「あいつ?」

あの時の恐怖が蘇る。

「あの時と同じなら、ニカル姿を変えて!」

「小娘から掛けるのか、まぁ良い、しっかり握っておれよ。」

ニカルがシャーペンからレイピアへと姿を変える。アリスがレイピアを握り入り口の方に構える。アリスとニカルが息を飲む。


コツコツと入り口の方から足音が聞こえてきた。

「おっと。随分と面白い出迎えだな。」

あの時と同じ、ローブを被った少年が入ってきた。

「なんか、わかってたよーだな。まぁいい、手間が省けた。救済の糧にしてやるか。」

空中に浮かんだ暗闇から旗を取り出した。

「さぁ、黒き旗の元に集え。」

ドンっと音を立てて霧が立ち込み始めた。黒い霧から獣が現れ始める。

「さぁ、楽しませてくれよ!」

少年の足元に現れた獣が唸る。

「来るぞ、構えろ!」

獣が襲いかかってこようとした瞬間、どこからか一枚のトランプが飛んできた。

「え?え?」

トランプは床に突き刺さっていた。突然起こった出来事に理解が追いつかない。

「おるな、数は2か?出てこい。」

ニカルが上の階に向かって叫ぶ。

アリスが上の階に目をやる。そこには二人の男女が立っていた。

男性の方は少年と同じぐらいの身長だろうか?春先とはいえまだ冷たい風が吹き荒れることもある中、上はアロハ柄のポロシャツ、下は紫色の短パンを着ていた。足元は裸足でサンダルというラフな格好をしていた。

女性の方は、白いベージュのようなコートを羽織っていた。下は、どこかの学生だろうか?学校指定の制服を羽織っていた。アリスの学校とは違い、上下共に青をメインとなっていてリボンなどの小物はついていなかった。

「下の方が騒がしとおもったら、まさかこんなに早く見つかるとわね。」

女性のほうが呆れながらに話す。手元には先程飛ばしたのだろうか?トランプを持っていた。

「何者か知らんが、争い者どもか?」

男女が下の階に飛び降りてきた。暗くて見えなかったが、男性の手元には1枚のコインが握られていた。

「闇のアイテムを渡した相手ぐらいおぼえておいたらどうだい?」

(渡した?このものどももあの持ち物は)

「トランプとコインなんぞ作った覚えなどないのだが、まぁ、面白くなるならよいか。」

「事情は後で話すからとりあえず協力してくれない?」

アリスに向けて、女性の方が話しかけてきた。

「え?え?」

「小娘。今はとりあえず協力するしかなかろう。」

「あら?結構喋るのねその武器。」

女性がニカルを見ながら微笑む。

「え、」

アリスにゾクっと鳥肌がたった。

(なに?この感覚不気味すぎる。)

「どうやら、面白いことになりそうだな。」

少年が旗を構えた。

「はい、そこまで。」

???

(なに?なに?誰の声?どこから?)

(気配も全く感じない?どこから話しているのだ?)

(この声どこかで、思い出せない。)

どこからともなく謎の声が聞こえてきた。

「ちっ!」

少年が旗をしまい。姿を消した。

「助かったぁ、」

肩の力が抜けて座り込む。




一呼吸置いてベッドの上にアリスを囲むように男女がたって話をし始めた。

「改めて、私の名前は、八木沼 梨杏。(やぎぬま りあん)」

「僕の名前は、久留 ローン。 (くる ろーん)」

「私はアリス、佐藤 アリス。こっちは、シャープペンシルのニカル。」

「へぇー!名前つけてもらってるのね。」

梨杏が目をキラキラさせながらアリスに近づいてくる。

「え?え?」

「ちょっと、梨杏困ってるでしょ?」

トランプが急に喋り出した。

「やはり、キサマのアイテムもか。」

「そう見たいね。」

「それじゃ、そのコインも」

アリスがコインを見つめる。

「そうね、契約した者にしか見ることができない。私達は、あなたのシャーペンみたいに姿を変えることはできないんだけどね。闇のアイテム?によっては、私みたいに人型やそのアイテムが使いやすいような姿に変えて戦うのもあるのよ。」

トランプから出てきた女性が話す。

「えーっと。なんて呼べばいい?」

「好きに呼べばいいわ、トランプでも、役柄でも。」

「私はカードって呼んでる。」

「そんな感じでいいんだ。」

「まぁこれからよろしく。」

「それよりも!気になることばっかりなんだけど!」

アリスが叫ぶ。

「そうなるよな。」

ローンが腕を組みながら頷く。

「あなた達の服装もこの時期とは違うし、謎のアイテム渡されるし、よくわかんない少年に襲われて、走り続けることになるし、世界の理とか訳のわからないこと言われるから頭こんがらがってるんだけど。」

「まぁまぁ、少し落ち着いて。」

「それについては、私から話しましょう。」

梨杏がコップの水を一口飲んで話始めた。

「理解できないことだらけだろうけど、それがこの世界の現実だからなるべく、受け入れてね。まず、私たちは、この世界とは別の世界からきた。そして、私二人の世界は存在ごと潰された。やつらの救済のために。」

「救済?そういえばあの生徒会長も言ってたな、何度目の世界とかって。」

生徒会長の話を思い出してた。

「何度目の世界ねぇ。確かにこの世界はループしてるわね。年を取らないループみたいなものね。」

「どういうこと?」

「そうねぇ。私の世界では、ずっと冬の季節がループしてて、ローンの世界では、夏の季節がループしてるって感じになってるわね。」

「世界がループしてる?」

「そうねぇ。例えがわからないけど、やつらが造る世界は春夏秋冬バラバラになってるわね。そうねぇ。あなたは何回卒業式を迎えた?」

「え?卒業式?」

アリスが考え込んでハッとした。そういえば、何回も卒業式が執り行われていた気がする。

「え?え?あれ?」

「流石に動揺するわよね。」

「え?じゃ今までのは現実なの?」

「この世界が壊れれば、現実なんだけどね。」

「世界が壊れる?なにをいってるの?」

「私たち二人は共に世界を壊された。そして、意識を失った。気がついたらこの世界にいたって感じなのよ。」

「もしかして、救済って。」

「やつらの言う救済は、やつらにとって住みやすい世界を造ることをさしてるみたいね。そして、なんども世界を創り変えることを輪廻新世りんねしんせい)と呼んでいるみたいね。」

「救済・・・・輪廻新世?」

色々なことを言われて頭がパンクしてしまった。

「これが、この世界でおこってるってこと?」



「あら?こんなところに来るなんて、なにかあったの?」

「この世界にも争い者が複数人いることが確認されました。警戒されよ。とのことです。」

「へぇ。面白いことになってきたわね。」

口元がニヤリとわらった。

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