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非日常世界へようこそ  作者: 紫音
第ニ閉
43/45

断章II

「じゃぁねぇ!お姉さん達!!!」

警察署の前で石山 将の元気な声が響く。

「本当に、ご迷惑をおかけしました。・・・そして、ありがとうございます。」

石山の横で彼の母親、石山 かりんが頭を下げていた。

山上と須藤は並んで様子を見ていた。須藤が石山に答えるように手を振っていた。

「いえいえ。・・・本当によかったです。無事に再会できて。」

山上が安堵の息を漏らす。

「本当に、・・・本当に・・・ありがとうございます。少し買いものに夢中になってしまっている時に目を離してしまいまして・・・」

石山の母親が涙を流しながら話す。

「・・・とにかく、ご無事で何よりです。」

山上が頭を下げる。

「石山君。今度はお母さんから目を離しちゃダメだよ。」

須藤がしゃがみ石山と目線を合わせて話す。

「うん!!」

石山が大きな声で頷く。

「・・・ほら、アンタもお礼を言いなさい。」

石山の母親が石山を肘でつつく。

「うん。お姉さん達。本当にありがとうございました。他のお兄さん達にもありがとうって伝えておいて。」

石山と石山の母親が深々と頭を下げた。

須藤が立ち上がり、敬礼をした。

「バイバーイ!!」

石山が手を振って母親に連れられ、警察署を去っていった。山上と須藤2人の姿が見えなくなるまで手を振りかえしていた。


「ふぅ。」

2人の姿が見えなくなった後ー。山上が肩の力が抜けたように息を漏らした。

「・・・とりあえず・・・1つの問題はかたずきましたね。」

須藤が山上に声をかける。

「・・・だといいのだけどね。」

山上が小さく声を漏らす。

「・・・所長!!!」

山上の元に1人の男性警察官が駆け寄ってきた。

「どうしたの?そんなに慌てて。」

「こちら・・・謎のご老人から、この警察署の山上という人物に渡して欲しい。と・・・」

山上が男性警察官から1つの封筒を受け取った。封筒は茶色で、宛名も住所もなにも記載されていなかった。

「・・・なにこれ?」

「・・・わたしにもさっぱり・・・」

男性警察官が首を振る。

「・・・ただ、私に渡してと・・・?」

「はい。」

男性警察官が頷く。

「・・・・・」

「・・・・・」

山上と須藤が黙り込む。

「わかったわ。・・・ありがとう。持ち場に戻ってとらって構わないわ。」

男性警察官が敬礼をして、山上の元から走り去っていった。

「・・・・・」

山上が封筒を、太陽にすかしていた。

「・・・何か見えました?」

「ダメ、何もわからない。」

須藤の問いに山上が首を振る。

「・・・何かのイタズラかも知れないわね。」

山上が深くため息をつく。

「私、1人で確認しておくわ・・・須藤、貴方は先にアリスさん達の元に行っておいてくれないかしら?」

「ハイ!了解しました。」

須藤が敬礼をして、走り去っていった。

「・・・・・」


ガチャっと山上が所長室のドアを開けた。辺り一面に書類の山ができていた。

「私がいなくても、業務がまわる。・・・冷静に考えたら不思議よね。これもアイツらがいう救済の影響なのかしら?」

独り言をボヤキながらデスクへと向かった。

「・・・・・」

手に持った封筒をあけ、中身を確認した。

「たった、1枚の紙?」

封筒の中身は1枚の紙だった。紙の中心部分には、「お前は、ドチラガワダ?」と書かれていた。

「・・・なにこれ・・・どういうこと?」

山上の全身がガクガクと震える。ガバッと顔を上げた瞬間ー。山上の視界がグニャリと歪んだ。ドサッと椅子に倒れ込む。

「・・・連日の疲れが・・・たたってるのかしら?」

椅子に倒れ込んだまま、山上が目を閉じた。



「・・・これで、よかったのですか・・・?」

「アッハハハハハハハハハハ!!!!・・・君は心配性だなぁ。大丈夫、大丈夫。タネは植えてあるしさ、それに・・・抗われた方がもっと面白くなるし、カギも見つかりやすくなるからねぇ。それに、もっともっと、楽しませてもらわないとつまらないからねぇ。こっちも。」

「だからと言って、貴方様が行く必要など・・・。」

「・・・まぁ。なかった面も大きいけど、色々と収穫はあったからね。・・・タダ1つだけ、いや1人だけ・・・どうしても理解できなかったことがあったけど、」

「理解できなかったこと?」

「まぁ。なんとかなると・・・思うが。」



「・・・ハァ・・・今回も締切ギリギリだったなぁ。」

ふぅーと大きなため息を1つ吐きながら女性が1人歩いていた。夏なのに、分厚いコートを羽織っており、手には手袋、ニット帽そして首にはもこもこのマフラーを巻いていた。

「なんで、毎度の如く余裕があるのにコウなってしまうんだろう・・・。ハァーー。アシスタントさんも、担当編集者も皆さんとてもいい人だから本当に申し訳ないよ。頭が上がらないよ。」

トボトボと独り言を呟きながら重い足取りで歩いていた。

「コロコロコロコロ・・・。」

彼女の足下に何かが転がってきた。

「・・・何だこれ?えんぴつ?」

彼女の足下にはえんぴつが転がっていた。

「なんでこんなところに?」

彼女が足下に転がってきたえんぴつを拾い上げた瞬間ー。

「ヒューっと」後から首の辺りに刃物のような物が出てきた。

「・・・なんというか・・・随分と暑苦しい格好?しているわね。アナタ・・・。」

彼女の後からエポカがカマを構えていた。彼女は声にならない声を上げることしかできなかった。

「まぁ。ソレが見えたのは、運がいいのかしら?」

エポカの視線は、彼女が拾い上げたえんぴつに向いているように見えた。

彼女がごくりと喉を鳴らした。

「さぁ。アナタは、ドチラ側になるのかしら?・・・楽しみねぇ。」

エポカがニヤリと微笑んだ。

「ぎやぁーーーー!!!!!」

青空の下1人の女性の声が虚しく響いた。

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