断章1
山上の家ー。
「・・・これぐらいあればいいかしら?」
魔女はロウソクや、懐中電灯をテーブルの上にいくつも置いていた。
「大分用意したな。」
「暗くて怪我したら困るからね。いいと思うよ。」
梨杏、ローンがそれぞれ声を出す。
カチャと扉が開く。
「あれ?」
扉の奥から石山が目を擦りながら出てきた。
「皆さん。どうされたんですか?」
「・・・今まで寝てたのか?」
ローンが石山に聞いた。石山が頷いた。
「・・・・・」
魔女とローンが目を見合わせた。
(寝ていたのか?こんな騒ぎの中?)
「どうしました?」
石山が首を傾げて聞いてきた。
「いえ。なんでもないわ・・・」
魔女が言葉に詰まりながら答えた。
「そういえば、アリスさんは・・・どちらに?」
山上が首を傾げた。
「他にも数名この場にいないように思うのですが・・・」
「そうね。今停電してて、電気がつかない状態だから・・・お姉さん達は、夜に向けて明かりを確保してるの。」
魔女が山上に向けて答えた。
「・・・・・」
沈黙の空気が流れる。
「・・・そうなんですね。なにか手伝えることはありますか?」
「とりあえずは、大丈夫よ。怪我すると危ないから、座ってる?」
「いえ、大丈夫です。お手洗いに行きたいので・・」
扉を閉じて、山上が部屋から出て行く。
「・・・・・」
「なぜか、緊張するわね。」
魔女が深呼吸をして、声を発した。
「そうとう、寝てたんだろうな。」
「というか、あんなに騒いでたのに、聞こえなかったのか?」
コインの魔人が疑問を投げかけてきた。
「・・・・・」
その場にいる全員が考え込んだ。
「どうやら、戻ってきたみたいですね。」
窓の外から赤いランプが見えた。梨杏の声によりそれぞれが考えをやめた。
「迎えにいきましょうか。」
梨杏、ローンがうなずいた。
山上の家ー玄関前ー。
パトカーが玄関前にたどり着いた。
梨杏達が玄関の扉を開けて、アリスとシールズを迎えた。パトカーの扉が開き、アリスとシールズが降りてきた。
「おかえりなさい。」
「お疲れ様、。」
梨杏と魔女がそれぞれ声をかけた。
「・・・オメェは、誰だ?」
パトカーから降りてきたもう1人の人物を見てローンが声を出した。
「・・・」
白い着物をきた剣士は無言のまま梨杏達の前に立った。
「コイン!!」
ローンがコインを握りしめた。
「待って待って!!」
アリスが剣士と梨杏との間に立った。
「彼は私たちの味方です!!」
「どういうことだ?」
ローンが首を傾げた。
「久しいな。」
剣士が魔女を見て声を出した。
「・・・なんで、あなたまで?」
魔女が声を詰まらせた。
「余計に意味がわかんねぇぞ!」
「ローン。・・・警戒態勢解いていいわよ。彼は私たちと同じ、抗い者よ。大丈夫・・・私たちの味方。」
「・・・・・」
ローンが警戒態勢を解いた。
「ところで、ライメイは?」
梨杏が確認した。アリスとシールズの顔が暗くなる。
「そのことも含めて、明日しっかりとお話ししましょう。」
パトカーを止めて、須藤が歩いてきた。
「そうですね。」
アリス達が家の中に入っていった。部屋の中は電気が復旧しておらず、暗くなっていた。
「ーーーーの姿。ーー合流。確認。」
「全ては、救済の名の下に。」




