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非日常世界へようこそ  作者: 紫音
第一閉
2/26

「扉は開かれた」

ほんのりと暖かい風が吹き荒れる。街中に咲く桜の花びらが舞い散る。

「おはよー」

制服を着た生徒達が学校に登校してくる。


閑静な住宅街

「おはよー」

寝ぼけまなこな眼を擦りながら、1人の女性が階段から降りてきた。

「ほら、アリスちゃっちゃとご飯食べちゃいなさい。」

佐藤 アリスこの世界の学校に通う高校2年生。

顔を洗い朝食を食べ学校指定の制服に着替え学校へと向かう。上下共に黒を基調としたブレザーとスカートとなっている。

「それじゃいってきまーす」

ふぁ〜とあくびをしながら通学路を歩く、暫くあるくと後ろから呼びかけられる。

「あっアリス、おはー。」

振り返ると同級生の田中たなか 有数ありすがいた。

「はよー。今日も元気だねぇ。」

「あんたもアタイと同い年やん。」

たわいもない会話をしながら通学路を歩いていく。そろそろ校門前が見えてきた頃。

有数が「ゲ」と小さく呟いた。校門前に立っているのは体育教師を務めるコワモテの先生だ。

「安藤じゃん。あいつ苦手なんよなぁ。」

上下黒ジャージを着用し、竹刀を肩かけしながら登校してくる生徒達に挨拶をしている。安藤先生。ガタイが良くコワモテの面構えをしてくることから多くの生徒から怖がられている。

「まぁ悪い先生じゃないんだしいつも通り行けば問題ないっしょ。」

「おはようございます。」アリスと有数は軽く会釈をして高校へと入っていった。


アリス達のクラスは2年2組。一クラス20人程度で3クラス計60人程いる。

「ふぅ」教室につき自分の席について一息付く。アリスと有数は隣り通しの席に着席した。

チャイムがなった、時刻は8時30分を指していた。

「ほら、オメェら、座れぇ。朝のホームルーム始めるぞぉ。」

ガラッとドアが開き担任の先生が入ってきた、担任の先生は化学の先生でいつも白衣を羽織って、化学の授業でも爆発を起こすことから、生徒達からは白衣の悪魔と呼ばれている。

「は〜い」教室に散らばっていた生徒達が続々と席に着いていった。


チャイムが鳴り響き帰りのホームルームの時間になった。教室の窓の外は綺麗な夕焼けに染まっていた。

「ほい、今日もご苦労さん。今日も特に連絡事項はないが、もうすぐ卒業式が行われる。っていっても主役はお前は2年じゃないがな。」

(そっか3年生は、もうすぐ卒業式なのか。)

担任の先生の話を聞きながら、背を伸ばした。

「ってことで今日は終わりだ。気をつけて帰れよ。」

「は〜い。 起立、礼、さよーならー。」

号令と共に生徒達は各々帰りの支度を始めた。帰宅、部活、図書室に勉強、放課後遊びに行く生徒。

「ホンじゃ、アリスお先に失礼。また明日ね。」

陽気な挨拶と共に急ぎ足で有数は教室を飛び出していった。

「おぅ。また明日。」

(・・・そういえば、有数。生徒会長と付き合ってるんだっけ?)

この学校の生徒会長。といっても今は引退して、元生徒会長になる。早乙女 ジュリア(さおとめ)名前だけ見ると女性と勘違いする生徒が多いが、男性だ。この学校に入学してから3年間剣道部に入部し、1年の頃からエースとして活躍をしていたらしい。

(実際に会ったことないから、ウワサしか知らないんだよなぁ。 生徒総会でも壇上との距離が遠すぎるからはっきりと見れないんだよなぁ。)

「ふぅ。ワタシも帰ろ。」

パックを肩にかけ、アリスも帰路についた。


「今日は仕事で遅くなるから、適当にご飯食べといてちょうだいね。」

スマホには母親からメッセージが届いていた。アリスの両親は共働きで親が仕事により遅く帰ってくることが多い。幸い1人の為適当にスーパーにいって1人分作るのには慣れている。

「はぁ、今日マフラー持って来ればよかった。」

3月とはいえ、時折冷たい風が吹き荒れていた。ぶつぶつと文句を言いながら、帰路をあるいていた。

「ん?」ふと目線の先に、ある一つの建物が目に入った。普段と何も変わらない、変わらないからこそ気づくことがある。

「あんな建物朝あったっけな?」

アリスの目線の先には、黒い大きな館みたいな建物が建っていた。周りの雰囲気とはかけ離れていて、禍々しい黒いオーラを放っているようだった。

「なに?この建物?不気味すぎでしょ。」

入るのも躊躇うような重く白い扉の前に立って呟いた。

「一一の、一一が、一一一か?」

「え?なに?今の?」突然頭の中に謎の声が響き渡った。

「わ一の、一えが、一こ一るか?」

「え?え?まじでなんなの?意味わかんなすぎるんだけど。」先程よりもはっきりと声が聞こえて混乱してしまう。ふと周りを見てみるが、誰一人としてアリスに気づいていないように普段通りの生活をしていた。

「われの、こえが、きこえるか?」

今度ははっきりと聞こえた。

「ちょっと私にしか聞こえてないの?これ?われのこえがきこえるか?ってそんなこと言われてもどこからしゃべってんのよ。」

辺りをキョロキョロするが目の前には黒い館しかない。

「っつ、この中からしか考えられない。でも誰がいったい。何のために。」

ふぅーっとため息を深く突き覚悟を決める。

「いってみるか。」

ギィィィーと重たい扉を押し館のなかにはいっていく。「おっもっ」

館の中は、ハサミ、包丁などの日用品がショーケースにいれられていて、小さいランプで照らされていた。

「なんだこりゃ、日用品ばっかりじゃない。」

「こっちにこい。」

「この声、さっきの」館の中にはいるとはっきりと聞こえた。不安な気持ちになりながらも、館の奥へとすすんでいくと、奥に人影があるのを見つけた。

「おや、こんなところに、人が来るとはめずらしいのう。」黒いローブを被っており顔を見ることはできないが、声で男性であることはわかった。そんな中店主の前にある1つのものが目に入った。

「なにこれ?シャープペンシル?」

黒色のシャープペンシル。ジィーッと見つめていると、

「我の、声が、聞こえしものよ。」

「ひゃぁっ!」と声をあげる。

「どうしたんじゃ?お嬢ちゃん?」目の前の店主が不思議そうに声をかけてきた。

「すみません。このシャーペンみてもいいですか?」

「このシャーペンかの?まぁよいが。」店主がショーケースを開けてシャープペンシルを取り出す。コトッと置いた瞬間。「我の声に導かれしものよ。」はっきりと声が聞こえた。店主をみると、「ほぅ」と小さく言葉を発した。どうやら店主にも声?が聞こえたらしい。

「嬢ちゃん、どうやらお前さんは、この声に呼ばれたみたいじゃの。」店主が、目をみて話しかけてきた。「うむ。これも何かの縁じゃ。記念にこのシャープペンシルをくれてやる。」

え?店主の言葉を聴いた瞬間意識が遠のいていった。目が閉じる瞬間店主がふとにやついているように見えた。


一さん、お嬢さん、大丈夫かい?

「あれ?私寝ちゃってた?」

気がつくと周りは暗くなっていた。

不思議な夢をみているようだった。あれは現実だったのか?そんなことを考えながら、帰路に着く。


急足で家に行くともう灯がついていて、母親が帰っていることがわかった。

ガチャっと玄関の扉を開け家に入っていく。

「ただいまー。ごめんなさい。おそくなっちやった。」

母親が晩御飯の準備をしていた。

「あら、おかえりなさい。遅かったのね。とりあえずきがえてきちゃいなさい。」

アリスは着替える為に、2階の自分の部屋に向かった。

ふぅと一息つく。夕飯を食べる為に、制服を脱ぎ始める。

「今日は、なんだったんだろう? あの黒い館、夢だったのかな。」

ベストを脱いだ瞬間ふと胸ポケットに目が入った。あり得ない。夢だったはずじゃ?なんであるの、どうして?胸ポケットには、あの黒いシャープペンシルがはいっていた。

「嘘でしょ。」

アリスはぼそっとつぶやいた。


さぁ。役者はそろった。この世界の争いのはじまりだ。暗闇の中高笑いが響いていた。

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