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非日常世界へようこそ  作者: 紫音
第一閉
17/37

「理(ことわり)」

山上の家ー。

翌朝。アリス達5人と山上、須藤2人の女性警察官は机を挟んで向かい合い話を始めた。

「まず、改めて自己紹介をするわね。私は、山上やまがみ 凛音りんね。ここ警察所長ね一応。」

山上がもう1人の警察官の方を見た。

「あっ。私は、須藤すとう 本来ほんらです。よろしくお願いします。」

2人の女性警察官が改めて自己紹介をした。

「それじゃ、私たちも、私は、八木沼やぎぬま 梨杏りあん。」

梨杏が咳払いをして、自己紹介をした。

「・・・俺は、久留くる ローンだ。」

「私は、佐藤さとう アリスです。よろしくお願いします。」

梨杏に続き、アリスとローンも自己紹介を続けた。

「・・・佐藤さん、久留さん、八木沼さんね。・・・そちらのお二人は?」

山上が3人の顔を見てそれぞれ復唱した。

「・・・我は、ライメイだ。」

「あっ。私はシールズと申します。」

シールズがぺこりと頭を下げる。山上に聞かれそれぞれ名前を名乗る。

「ライメイさんと、シールズさんと。」

須藤がそれぞれの名前を紙にメモしていた。

「メモる必要あるのか?」

ローンが須藤に聞いた。

「一応。情報と職質?みたいなことをかねてますから。」

メモをとりながら須藤が顔を上げた。

「・・・ごめんなさいね。私達も立場があるの、こうして何をしらずにいるのもいけないのよね。理解してもらうとありがたいわ。」

山上がローンに向け話した。

「・・・立場ねぇ。」

ローンが小声でつぶやいた。

「ところであなた名前は?」

山上の視線が1人の少年へと向かった。

「名前?」

少年が首を傾げた。少年の格好をよくみると、上下共にボロボロのシャツを着ていた。

「・・・あなた親御さんは?」

「親・・・いない。捨てられた・・・。」

少年が絞り出す様に声を出した。

(・・・この子もオーラが見えない。)

「・・・捨て子?」

「家を出て逃げてた、気づいたら寝てて起きたらあそこにいて、建物が崩れてた。」

少年がガクブルと震えてた。

「小娘・・・」

「・・・わかってる。」

ニカルが小声で話しかけてきた。アリスが少年をじっと見た。

(・・・)

「どうした?」

ニカルが話しかけてきた。

「・・・白だった。」

アリスが呟く。少年の周りには白いオーラがまとわっていた。

「捨て子。虐待。なるほどね。」

ため息を1つ付き。山上が話す。

「・・・須藤この件は、持ち帰って後で詳しく調べ始めること。」

須藤に向き命令をする。

「はい、わかりました。」

ポケットから出したメモ帳にスラスラと少年のことを書き留めていた。少年は泣き疲れたのか横になっていた。山上が毛布をかけた。

「・・・さてと、私達の話にきりかえましょうか。」

アリス達の正面に座り直し、話を始めた。

「・・・話すにしても、私も詳しくないし。」

アリスが申し訳なさそうに答える。

「それについては私から話すわ。」

梨杏の持っていた。トランプが魔女に変化した。

「・・・急に人がでてきた?」

山上が呟く。

「・・・初めまして、私はトランプの魔女。以後よろしくお願いします。」

ぺこりと山上に向かって頭を下げた。

「何もないところから、急に・・・」

須藤が小声でつぶやいた。

「・・・あの、話してもいいかしら?」

魔女が咳払いをした。

「え?あぁ。いいわよ。」

「・・・それじゃ、紙を何枚かとペンを使わせていただいてもいいかしら?」

「あっ。紙とペンならこれどうぞ。」

須藤が魔女に紙とペンを渡した。

「あらどうも。」

魔女が紙とペンを受け取った。

「えーっとまずは・・」

机に紙を置き、3つの丸と矢印を書いた。丸は紙を3等分の上、真ん中、下に書かれ矢印は丸の後ろに3つと紙のしたに長く書かれていた。下の長い矢印には、右側に未来左側に過去と書いてあった。

「丸が3つ?」

アリスが紙をみた。

「まず、大前提に私たちはそれぞれ違う世界からやってきた。格好が違うからわかると思うけど・・・」

魔女が説明を始めた。

「まず、この世界アリスが住んでいる世界が今、現在だとするわね。」

魔女が中央の丸にアリスと文字を書いた。

「このアリスの世界を現在と捉えると、ローンの世界は未来。梨杏の世界が過去となるわ。」

魔女は上の丸にローン。下の丸に梨杏と書いた。

「・・・あなた達はそれぞれ違う世界の住人ってこと?」

山上が質問をした。

「そうなるわね。でもややこしことがあってこの3人の世界が、アリス達と同じ軸の未来の可能性もあるしもしくは別世界軸の未来となっていることもある。ってことね。」

「同じ過去、未来でも世界が別?そんなことが起こるんですか?」

須藤が聞いてきた。

「それには奴らが、何度も行ってる行為が原因ね。」

「行為?」

山上が呟く。

「ちょっとまってね。えーっと。説明が難しいから、書きながら説明するわね。」

魔女が別の紙を用意して、説明を始める。

「まず、この世界は何度も創り直されてる。」

「え?」

さらっと言ったが聞き逃せなかった。

「創り直されてる?え?どうして?」

山上が聞き返す。

「落ち着いて、説明するから。」

魔女が山上を落ち着かせる。

(まぁ。急に言われてもびっくりするよな。)

ローンが腕を組んで考え込む。

「奴らの目的は、自分達の住みやすい世界を創ろうとしてる。そのために何度も何度も世界を創り直す。これを奴らは、輪廻新生りんねしんせいと呼んでいる。」

魔女が紙にスラスラと丸をいくつも書き、番号を振りそれぞれ黒く塗り潰し、紙の下の方に輪廻新生と書いた。

「・・・輪廻新生・・・」

須藤がつぶやいた。

「・・・どういう原理なのよそれ?」

山上が魔女に質問した。

「えーっと確か。」

魔女が新しく紙を取り出した。

「奴らは新しく創った世界を、かくの呼んでいる。」

白紙の紙に丸を書きその中に核と書いた。

「・・・奴らは救済のため、扉を探してる見たいなの。」

魔女が紙の端に扉を書いた。

「この扉は、彼の方が封印されてるらしいけど・・・。」

(彼の方?)

魔女が淡々と説明を続ける。

「ちょっとまって、色々と追いつかないんだけど。」

山上がストップをかけた。

「えーっと。扉を探すために、核を創ってる?」

山上が魔女に質問する。

「奴らは一度敗れてるのよ・・・」

「え?」

「負けてるのか?」

アリスとローンがそれぞれ声を上げる。

「それじゃ、世界を壊してるってもしかして」

シールズが呟く。

「多分。あなたが思ってる通りよ。奴らは扉がない核は必要ない・・・つまり壊してるということになるわ。」

「・・・そんなことを、」

それぞれが絶句する。

「それじゃ、もしかして・・・この世界の住人や建物って・・・実在しない?」

アリスが声を振り絞る。

「そうなるわね。」

魔女が答える。

「でもそれじゃ俺たちはどうなってるんだ?現にこの世界にいて、こうして話もできてる!!もし俺達も実在していないんだったらおかしいだろ!」

ローンが声を上げる。

「そうなのよね。私もそこは謎なのよ。どうして、これだけの人数をこの世界にとどまらせておくのか・・・それがどうしてもわからないのよね。」

魔女が考え込む。確かに魔女の言う通りだ。奴らの言う救済・・・それが住みやすい世界を創ることが目的なら、邪魔をする私たちは残しておくと必要なんてないはず・・・。

「建物が消える・・・。先輩、それって・・・」

須藤がハッとして、バックから1枚の書類を取り出し机の上に置いた。それぞれが覗き込む。紙には、「驚愕!一夜にして建物、人々消息不明?」という見出しが書かれていた。

「これ、私のところだ。」

写真に見覚えがあった。アリスが声を出す。

「あなたの言うことが正しいなら、この建物や人々が急に消えるというのもがってんがいくわね。」

山上が魔女を見ていった。

「・・・確かにそうね。」

魔女が答える。

「世界を創りなおすねぇ。現実とは思えない・・・わね。」

山上が考え込む。

「・・・まだ、説明したいことあるのだけども・・・続けていいかしら?」

重い空気が流れるなか、山上と須藤が静かに頷いた。

「それじゃ、続けるわね。それで核を壊すには、奴らはその世界で、ことわりというものを破壊しないといけないみたいなの。」

魔女が先程の紙に核の横に理と書いた。

「理?」

アリスが首を傾げる。

「・・・そう。理。奴らにとっては、それを壊さないと核を壊せないみたい。」

「つまり、核を破壊するには理を見つけて破壊しないといけないってことになるのか?」

ローンが魔女に質問する。

「そういうことね。」

魔女が頷く。

「その理も闇のアイテムじゃないと破壊できないみたいで・・・」

「闇のアイテム?」

今度は山上が首を傾げる。

「それについては、見せたほうが早いわね。」

魔女がアリス達に目を向ける。

「あぁ。そういうことか。」

ローンがポケットからコインを取り出した。それに続き、アリスは胸ポケットからシャープペンシル。をそれぞれ机の上に置いた。

「何を置いたんですか?」

山上と須藤がじっとアリスとローンが置いたと思う物を見ていた。

「それが闇のアイテム。私もこの姿だと見れるけど、トランプに変形すると。」

ポンっと魔女がトランプに姿を変えた。

「っ!消えた?」

須藤が声を上げる。また魔女がトランプから姿を変える。

「今度は現れた!」

「こんな感じよ。」

魔女が説明をする。

「私だけ見せればいいかな?」

アリスが魔女に質問する。魔女がコクリと頷く。アリスが、ニカルを手に持ちレイピアへと変形させる。

「今度はなに?」

山上が声を上げる。

「こんな感じに私のシャープペンシルは変形します。」

レイピアを元のシャープペンシルに戻した。

「なるほど。それで核の理を破壊するってことね?」

山上が魔女に質問する。魔女がコクリと頷く。

「あなた達は核が壊れる前のことは覚えてるの?」

山上がローンと梨杏に聞いた。

「・・・俺は、両親を殺された。・・・警察官に・・・」

「私は、急に暗闇になったから何が原因かわからないの。」

ローンと梨杏がそれぞれ言葉を発する。

「警察官が一般人を撃った?」

須藤が絶句する。

「・・・普通じゃ考えられないわね。」

山上が考え込む。

「・・・でも、俺の両親は撃たれたんだ。」

ローンが言葉を詰まらせる。

「・・・もしかしたら、ローンの両親が理だったのかもね。」

魔女が一呼吸置いて話を始めた。

「そんなことあるのか?」

ローンが聞き返す。

「理は人になったり空間になったり核によって変わるみたいなの。それが急に現れることもあるし、暫く経っても現れないそんなこともあるといってたわね。」

魔女がローンに説明する。

「それじゃ。俺の両親は・・・」

魔女がコクリと頷く。ローンが絶句する。

「信じられないけど・・・」

山上が呟く。

「それじゃ。この世界が壊れないのって・・・」

アリスが魔女に質問する。

「この世界にまだ理が見つかっていないか、もしくは、この世界に扉があるかのどちらかでしょうね。」

魔女が答える。

「闇のアイテムはどうやって手にいれたんですか?」

須藤が質問した。

「私は、謎の商人から。」

「俺は、謎の声から。」

「私は、この世界にきてから。」

アリス、ローン、梨杏がそれぞれ答える。

「なるほど、なるほど。」

須藤がメモを取る。

「それじゃ、説明に戻るわね。」

魔女が咳払いをして、説明に戻った。

「えーっと。どこまで説明したかしら?」

「この世界のことと、闇のアイテムについてのよ。」

山上が魔女に答える。

「あぁ。そうだったわね。ありがとう。それじゃ次は、ライメイとシールズのことね。」

魔女がライメイとシールズの方を見た。

「あなた方も違う核からきたってことですか?」

須藤が質問した。ライメイとシールズが頷いた。

「我も気がついた時にはこの世界にいた。前の世界の記憶はあまりない。」

「私は戦いの途中でこの世界にやってきました。」

ライメイとシールズがそれぞれ答える。

「ライメイとシールズはそれぞれ奴らに襲われていたっていう共通点はあるけどね。」

魔女が一言つけ加える。

「奴ら?にとってこの2人が必要ということか?」

山上が魔女に聞く。

「そうみたいね。奴らはライメイとシールズのことをピースと呼んでるみたいだけど。」

「ピース?」

須藤が首を傾げる。

「ピースということは、何かに繋がるということなんだろうな。」

山上が言葉を発する。

「扉に関係してるとは思うんだけど。何に使うのかしら?」

魔女が首を傾げる。

「それじゃ。奴らについて説明してくれないか?」

山上が魔女に聞く。

「奴らはこの世界を救済しようとしてる者達のこと、今のところわかってるだけで4人確認できてます。」

魔女が再び紙に書き始めた。

「1人目は旗を使う。黒いローブを羽織っている。少年です。見た目はーーー、」

少年の見た目をスラスラとメモっていく。銀色の髪。目の色。ローブの下に来ている赤紫色の服ー。

「2人目はエポカと呼ばれている。少女ー。」

エポカという少女についても書いていく。髪のけロングの茶色。目の色は少年と同じで左目が赤、右目が紫。服装は、全体的に黒色の服を着用して、かなりぶかぶかの服を着用している。核を自由に移動できたり、させることができる。

「3人目は私たちを街中で襲った。水晶玉を持ったザッリアーグ。」

「なんで、あの占い師が・・・」

アリスが呟く。ザッリアーグについてもスラスラとかいてゆく。全身黒色のローブ。水晶玉を持っている。黒い髪の毛。両目が赤色。

「そして、4人目ー。キュルアーという指輪の人物。」

「あの図書館のー。」

今度はローンが呟く。キュルアーについても、スラスラも書いていく。金色のロング。紫色のロングコート。目がオッドアイ。左手に指輪。指輪ー闇のアイテム。ベビが出現する。

「以上が現在判明している。4名です。」

ペンを置き、山上に見せる。

「情報ありがとう。」

山上が魔女にお礼をする。

「ところで、1つきになったのだけど、ザッリアーグという人物は元々あなた達はと接触してたの?」

「そうなんです。元々占い師だったんですよ。」

アリスが答える。

「それが、次にあったときにはもうあの姿に・・・」

「それは多分ー。あの占い師がこの世界における。不具合バグだったからだと思うわ。」

魔女が淡々と答える。

「バグってゲームとかで起こる。不具合とかのことか?」

ローンが聞き返す。

「そうね。この核を奴らは創ってるっていったじゃない。そうなると奴らの想定とは違うことが度々起こることもある。それをバグと呼んでるみたいよ。」

魔女が説明する。

「それじゃ、あの占い師さんは・・・」

梨杏が言葉を詰まらせる。

「多分。奴らにとっては不具合に過ぎない。だから処理したんでしょうね。自分達に有利になるように。」

「そうなると君らが抗い者と呼ばれているのもわかるわね。」

山上が納得する。

「それじゃ。最後に私についてね。」

魔女が改まって説明を始めた。

「?あなたは闇のアイテムじゃないの?」

梨杏が聞き返した。

「正確には、私がこの姿になる前のことなんだけどね。」

それぞれが首を傾げる。

「私は、放遊者ほうろうしゃと呼ばれていた。私はエポカと同じで核を移動する力があったの・・・それともう一つ力があって、私の場合は人をトランプに変形させることができる。」

魔女が自分の説明をした。

「トランプも力だったのか。」

ローンが納得していた。

「ほうろうしゃ?とはどう書くんですか?」

須藤が魔女に質問をした。

「漢字?えーっと確か。放遊者ほうろうしゃは、放送の放に遊ぶに者って書くわね。」

魔女が須藤に説明した。須藤がメモっていた。

「なるほど、ありがとうございます。」

「なるほどね。ここまで聞かせてくれたのだから、私たちも協力するわ。それでいい?須藤。」

山上が須藤に聞いた。須藤が頷いた。

「よかった。これからよろしくお願いします。」

アリス達は頭を下げた。

「こちらこそ。よろしく。あなた達の世界を守るために協力するわ。」




山上の家ー。

山上の手元には、須藤がまとめた書類があった。それぞれ魔女に説明されたことが書いてあった。この世界の仕組みには、丸が書いてあり中には理、核が書いてあった。世界線という紙は魔女が書いた通りの紙。救済側も魔女の説明して紙。抗い者は、アリス達5人。それぞれわかりやすく紙にまとめてあった。

「・・・これが、現実なのね。」

ため息をつき背もたれに倒れ込んだ。

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