「立場」
アリス達5人と1人の少年は二台のパトカーで移動していた。山上の運転するパトカーにはアリス、ローン、梨杏。須藤の運転するパトカーにはライメイ、シールズ、そして逃げ遅れた少年が乗っていた。梨杏は山上に向けて今までの出来事を車内での移動の間に説明をしていた。
「なんだかよくわからないわね。」
山上が話を聞いて呟く。
「まぁ、そうなりますよね。普通は・・・」
「とりあえず、この世界は何回も転生してる?ってことね。この世界も壊れる可能性があるということね。」
「そうですね。でも今のところ壊れないので何とも言えないのですが・・・」
「・・・そう。」
重たい空気が流れる。
須藤側の車内にてーーー
こちらも重たい空気が流れていた。
「・・・お主は我らが怖くないのか?」
ライメイが少年に質問をした。
「怖い?なんで?」
少年はキョトンとした表情で首を傾げた。
「僕を助けてくださったのに怖がる必要なんて失礼だと思いますが。」
「・・・そういうものなのか?」
ライメイが考え込む。
「・・・ところでどこに向かっているのですか?」
シールズが須藤に聞いた。
「とりあえず、保護という方になるのでこれから先輩の家に向かいます。」
二台のパトカーは夜道を走っていった。
某所ーー
大きな扉の前で何人かの人物が会話をしていた。
「あれで、よかったのですか?」
「いんじゃない?」
「噂をすれば戻ってきたわよ。」
2人の人物が歩いてきた。
「ありがとうございました。」
「汝、理性を失うことありてー」
「お疲れ様。ザッリアーグ、サントク」
「まさか、ニカルが進化するとは思いませんでした。」
ザッリアーグが呟く。
「あれは、進化というより・・・。さぁ。もたもたしてないで、次の作戦に移りましょう。」
「我、次の任命にて天明全うすることなりて。」
「サントク、貴方は次の作戦が最後だもんね。よろしく頼むわ。」
「話の途中ですまねぇが・・・ちとやりたいことがある。エ 。よろしく頼むわ。」
「・・・何をしたいのかわからないのだけど?」
少年が暗闇から出現し、エポカに話しかける。
「とある核に飛ばしてほしんだ。」
暗闇に消えていった。
あれから30分ぐらい走っただろうか?辺りはもう暗くなっていて灯りがないと景色が見えない状況だった。
とある豪邸の前で止まった。
「え?なにここ?」
アリスが絶句する。
「着いたわ。」
それぞれパトカーから降りる。
「でっかいわねぇ。」
梨杏が首を上に上げてみる。
「・・・ここ私の自宅なの。さぁ入って。」
山上の自宅だという豪邸、重い扉を開き、中へと入っていった。中はとんでもなく広く、部屋がいくつもあった。全体的に茶色を基調となっており、床には赤色のカーペットが敷かれていた。天井にはいくつものシャンデリアがあった。
「すごい豪邸だな。」
アリス達は建物の広い場所に案内された。
「どうぞ、座ってくださいな。」
アリス達はそれぞれ席にすわった。
「とりあえず、説明するより見てもらった方が早いと思うので・・・」
アリスは胸ポケットからニカルを取り出し机の上に置いた。
「これ、見えますか?」
アリスが2人の警察官に聞いた。
「なにを置いたの?」
2人の警察官は首を傾げた。
「シャープペンシルを置いたのですが・・・これが闇のアイテムなんです。一般人には見えなくて、先程みたいに形が変形すると見れるようになるんです。」
「よくわかんない仕組みね。」
「まぁ、そうなりますよね・・・」
ニカルを胸ポケットに戻した。
「・・・先輩、私とりあえず帰ります。お疲れ様でした。」
須藤は帰って行った。
「貴方達もとりあえず休みなさい。」
「へっ!よくいうぜ!」
ずっと黙っていたローンが口を開いた。
「ローン?」
「俺はお前らのような立場の人間が1番嫌いなんだよ!」
大声を出すとローンは奥の部屋へと入っていった。
「・・・」
(ローンどうしたんだろう?パトカーに乗ってる時もずっと黙ってたし・・・)
「俺の家族はーー警察に・・・殺された。」
この世界の遥か未来ーー。
ローンの世界が壊れる前の話ー。
「今日はどこに行こうか。」
宙に浮いて移動をする。この世界は四つのエリアに分かれており、春夏秋冬になっている。それぞれが自分の好きな世界に住むことができ、暮らし方も自由となっている。ドーム型の形状で中央には様々な管理システムの核があると言われている。
ローンは夏エリアに暮らしている。
「今日は海にでいくか。」
海とはいえドーム型のエリアで括られている為、実際の海に行くことはできない。海という名前の室内型の大型プール施設となっている。
「アラクでも誘うか。」
ローンはアラクに連絡をとった。
「あっ、もしもし?アラク、プール施設行こうぜ。」
アラクは冬エリアに住んでおり、ローンと同い年の青年だ。
「あいよー。先行ってて。」
「了解。」
電話をきってプール施設に移動する。
移動手段は家の中にあるテレポートマシンで行きたい場所を設定すればすぐに移動することができる。
「そんじゃ。行ってくるょ。」
テレポートマシンに行き場を設定して、母親に声をかける。
「イドウヲカイシシマス。」
ローンの姿がヒュンと消えた。
プール施設にてー
「よし、着いた。アラクはどこにいる?」
プール施設に着いたローンはアラクを探す。
「あっ、いたいた。おーい。ここだここ。」
遠くから歩いてくるアラクを見つけた。アラクは冬エリアに住んでいる為。緑のローブを着用しており、モコモコの帽子と手袋をしていた。
「相変わらずこのエリアは住みずらいな。暑すぎる。」
「お前の格好みてるだけで暑くなるぜ。」
「はぁー。・・・さっさといくぞ。」
2人はプール施設に入って行った。
施設内は一定の温度に設定されており、どのプールも温水プールとなっておる。
夕方
2人はプールで一日中遊んでいた。
「いやー、遊んだ遊んだ。」
「よーさん。飽きんな。」
「もっと遊んでたいけどな。」
「そんじゃな。」
「おう。」
2人はテレポートマシンで移動した。
「ただいまー。」
「あら、おかえりなさい。ご飯食べちゃいなさい。」
この世界では、ご飯という物が存在しない。チュウブで体に直接入れるタイプになっている。 10秒もすれば完了してしまう。
「ふぅー。ご馳走様。」
一日がふけていく。
真夜中とある裏路地にてー
「お嬢ちゃん。こんな暗いところ1人で歩くのは関心しないねぇ。一緒に大人の遊びでもしないか?」
2人の男性が女性に向かって話かけていた。
「・・・この世界で集めるしかないのね。」
女性が静かに呟いた。
「あん?なにいってんだ?」
「こんなところ歩いてるんだ。手出されても文句ねぇよな!」
2人の男性が女性に襲い掛かろうとした。
「・・・どうせ、この核もいつかは壊れてしまう・・・救済を止めるための糧にさせてもらうわよ!」
伸ばしてきた2人の男性の手を掴み何かを唱えた瞬間ーー。男性の姿が数枚のトランプになっていた。
「・・・これで2枚・・・この核の住民なら一組位は完全するかしら?あいつらに見つからないように、行動しないと・・・」
女性の姿が暗闇に消えた。
某所ーー
「ちっ!気配は感じるんだが、決定的な証拠がねぇ!」
1人の男性が机をドンと叩き叫ぶ。
「随分と荒れてるわね。」
「・・・エポカ?何をしにきた?早く移動をさせて欲しいのだが?」
「そうしたいんだけどね。・・・この世界の核をどうにかしないと不具合が起きてしまうから、なんとかしないといけないのよ。」
エポカがため息混じりに話した。
「・・・なんとか感じるしかないってことか、この世界の問題も解決しないとなのにめんどくせぇなぁ。」
「・・・貴方の役柄なんだから全うしてほしいのだけどね。」
「はぁー。わかってるけどよ。まさか警察になるとは思わんぞ。」
「・・・それは貴方の武器が影響したと思うけど。まぁいいわ・・・こっちも進めておくわ。」
「頼んだ。」
男性の机の上の資料には「連続失踪事件」と書かれていた。