「新たなる脅威」
「大分集まり始めてるね・・・。うん、いいことだ。」
「ところで?エ 。なにかトラブルでも発生しているのかい?」
「うーん?大きなトラブルではないのですが・・・」
女性が首を傾げる。
「一部の鍵が人と干渉していまして・・・」
「へぇ?そいつは面白いね。少しばかり遊ぼうか。」
4人と1人は拠点である廃ビルに戻ってきた。盾を持った女性に敵意はないようで、拠点に向けて歩いている時に一才攻撃を仕掛けてこなかった。
(考えすぎだったのかしら?)
ホット胸を撫で下ろした。力が抜けたように座り込む。
「ここは?城ですか?」
女性はビルに入り、目をキラキラさせた。
「城?」
ニカルが呟く。
「そのポケットにあるモノ、お喋りすることができるのですね。不思議です!」
ニカルに目をやる。
「うわわ!」
「ちょっと!ニカル急に声を出さないで!」
「ニカルさんというんですね?はじめまして!」
女性はどうやらグイグイ来るタイプのようだ。
「ちょっと落ち着いてください。」
「そうね。とりあえず、話を聞きたいので座っていただいてもよろしいですか?」
梨杏が女性に向かって話をした。
「あっ!すみません。見たことないものだらけで、興奮してしまって・・・」
女性が一呼吸置いて座布団に座った。
「それじゃ、始めましょうか。」
梨杏が一呼吸置いて話を始めた。
「はい!なんでも聞いてください。」
フフン。と鼻を鳴らして答える。
「えーっと・・・とりあえずあなたは迷子になってたの?」
「えへへ。お恥ずかしながら・・・」
頬をぽりぽりかきながら答える。
「とりあえず、覚えてる範囲でいいからはなしてもらえるとありがたいのだけど・・・」
「はい、わかりました。えーっとですねぇ・・・。」
女性が話をはじめた。
「私の世界では、何年も続く戦争が起こっていました。・・・私の国は当初戦争など起こるハズないとたかを括ってました。しかし、ある時国の内部での裏切りが起こり戦争がはじまりました。」
「戦争・・・」
アリスがゴクリと息を飲む。
「幾つもの国が滅ぼされ、多くの人々が死に多くの人々の血が流れました。」
「この世界で目が覚めた時の記憶はない感じかしら?」
梨杏が聞いた。
「うーん・・・」
女性が腕を組み唸る。
「唯一覚えてるのは、指輪をはめた女性が襲ってきたってことですね。」
「「「!!」」」
3人がびっくりした。
「それって!」
「間違いなさそうね。」
「あいつそんなことしてたのかよ!」
アリス達がそれぞれ声を上げる。
「皆さまご存知なのですか?」
女性がキョトンとした表情で聞き返す。
「その女性、蛇をつかえてなかったか?」
ライメイがアリス達に変わり聞く。
「そーうですね。確かに大蛇でしたね。」
女性が答える。
「ってことは、この子もしかしてあいつらの探してるピース?」
アリスがハッとする。
「その可能性があるわね・・・」
(これで、二つ目。)
「うーむ。」
4人が頭を抱える。
「はーい。正解でーす。」
「え?」
パチパチと拍手をしながら、1人の人物が堂々と入ってきた。
「うそでしょ?」
「こんな時に敵襲か!」
「小娘!」
「わかってる!よろしくニカル!」
アリスがニカルを取り出す。ニカルが姿を変える。
「私たちもやるわよ!」
「ええ!」
トランプから魔女が現れる。
「コインよ!運命を定めよ!」
ローンがコインを取り出し、コイントスをする。クルクルと回転し、コインが裏面を出す。
「裏か、連戦だが、頼むぜ・・・アゼグ!」
「あいよー!今度はなんだい?」
コインから煙が発生し魔神が出現する。
「ぬう!」
ビリビリと音を立て、コンボウに雷がまとう。
「え?え?なにごとですか?」
女性が戸惑う。
「・・・あれ?どこかで聞いたような声?気のせい・・・」
アリスが疑問を持つ。
「アリスどうしたの?」
梨杏が問う。
「やっぱりこの子!あの時の。」
目の前の女性がフードをとる。アリス、梨杏、ローンが絶句する。
「うそだろ!」
「そんなことが・・・」
「なんで?」
目の前の女性はなんとあの時の占い師だった。
「アハハ、皆さま。お久しぶりですね。」
あの時会った時と姿が全く違う。全身が黒色のローブに覆われており、髪の色も白色から黒へと変わっていた。
「両目が赤色ってことは、私と同じ?」
目の色が赤色。それはつまり、闇のアイテムと契約をしているということになる。
「なにが起こってるかわかりませんが。危ない状況ということだけはわかります!」
ふんすと鼻を鳴らして女性が盾を構える。
「アハハ、あの少年の言うとおりね。我らが救済の糧にしてくれる!」
女性は懐から水晶玉を取り出した。水晶玉も禍々しい黒色のオーラに包まれていた。
「何あれ?」
「色が全然違わないか?」
「ちょっと、2人とも!呑気に話してる暇なんてないわよ!」
魔女が叫ぶ。
「今回は何を弾くかな?」
梨杏がトランプをシャッフルし一枚弾く梨杏の手には、赤のハートの7が握られていた。トランプを魔女に向けて投げた。
「随分と珍しいの弾いたわね。」
魔女がトランプの力をつかう。杖が今度は槍に形を変える。
「アハハ、アハハ、アハハ」
占い師の女性が高らかに笑う。
「我新名は、ザッリアーグ。世界の救済の為貴様ら前に立ちはだかるモノとなろう!」
ザッリアーグが水晶玉を構える占う。水晶玉からモヤが発生し、何かが映り出される。
「貴様の運命は留まった。さぁ、絶望するがよい!」
水晶玉が黒く輝いた。眩しすぎて直視することができない。アリス達が目を開けると、目の前にとんでもない数の化け物が出現していた。その数数匹ではなかった。よく見るとアリス達を囲むように出現していた。
「これは、多すぎない?」
アリスが呟く。
「貴様達は、異形のものに殺される・・・そういう運命なのだ。」
アリス達を囲む異形なものが唸る。
「ゆけ!」
ザッリアーグの掛け声のもと一斉に襲いかかってきた。
「ここは、私にお任せください!」
女性が盾を構え前に出す。
「もう、誰も、誰一人として、血を流すことはさせない!盾よ全てを人々を守りたまえ!」
盾が大きく変形し、アリス達を守る。
「これは、すごいな!」
「盾が守ってる。」
「これが、私のできることです。」
女性が照れくさそうにはなす。
「守るだけなので、攻めることはできないのですが・・・」
「それでも十分すごいではないか。」
ニカルも称賛する。
「確かにそうだな。」
「へぇ。守りか、これは面白いね。いい報告ができそうだ・・・」
ザッリアーグがニヤリと笑う。
「あとは我に任せよ!」
「我も協力しよう。」
「私も微力ながら、協力しましょう。」
ライメイ、ニカル、魔女が力をつかう。
「小娘。しっかりと握っておれよ!」
「ええ!お願い。ニカル!」
アリス達を囲っていた。異形なものたちは姿を消した。
「想像以上だね。」
「逃しはしないぞ!」
ライメイがザッリアーグに襲い掛かる。
「はぁー。」
「ぬぅ!」
ライメイが吹き飛ばされる。
「壁が造れるのはそっちだけとは思わない方がいいわよ。」
ザッリアーグの目の前にガラスのような壁があるように見える。
「こっちとしては目的達成なのよね。さっさと休まないと。」
「逃すか!」
ライメイが叫ぶ。
「残念だけど、これ以上遊んでられないの・・・また遊びましょう。エポカ!」
ザッリアーグが誰かをよぶ。
「はいはーい。」
何もない空間から1人の少女がでてきた。
「あの子って!」
現れた少女は、図書館でアリス達3人を拠点へと飛ばした人物だった。
「あら?お元気だったかしら。改めて、自己紹介でもしましょうか?私はエポカ。覚えてくれとは言わないけど、まぁ覚えてくれるとありがたいわね。」
エポカと名乗った少女は笑った。
「ふふっ。また会いましょう。」
パチンと指を鳴らしザッリアーグとエポカは消えた。
「助かったー。」
5人は肩を力を抜いたようにその場に座り込んだ。
「よかったー。誰も怪我をしなくて。」
5人は一息ついて話をし始めた。
「あの二人が皆様方がおっしゃってた。この世界を救済しようとしている人なのですね。」
女性が聞いてきた。
「ええそうなるわね。」
梨杏が答える。
「まさか、一般人まで巻き込まれるなんてな。」
「そんなことが起こり得るのだな。」
「問題が増えたわね。」
重い空気が流れる。
「おこったことを悔いても仕方ありません。今は前を向きましょう。」
「・・・そうね。」
梨杏が一息ついた。
「そういえば、あなたの名前きめてなかったわね。」
「名前?」
「ニュックネームみたいなもんだ。」
「名前に関する記憶はないんですか?」
アリスが女性に聞いた。
「言われてみれば、名前・・・思い出せませんね。」
女性が首を傾げた。
「うーん。確かにその方がいいですよね。呼びやすいし。」
女性も納得する。
「そうねぇ。盾・・・シールズとかどうかしら?」
梨杏が提案した。
「シールズいいですね。今後ともよろしくお願いします。」
女性の名前も決まり、安堵する一向だった。
某所ーー
「いい成果ね。ありがとう。」
「いえいえ。」
「すまないね。僕の代わりに・・・」
「お役に立てたなら、光栄です。」
「戦争の衝撃かしら、かなり記憶がなくなってるみたいだけど・・・」
エポカが考え込む。
「少し強引だけど、あの鍵には力を取り戻してもらわないといけないね。」
「何をする気で?」
「なぁーに、気にすることないよ。少しばかりテコ入れをね。するだけさ・・・」