<第97話> 新たな考察
青野は、研究員達の表情の変化に気が付いていたが、先に話を進める為に話を続けた。
「それから、もし知っていたら教えて欲しい話もあるんだ。
今までの捜査方針を読んでいて、例えば古閑村長が捜査協力を拒んでいるくだりは、娘さんを思う純粋な親心と取れるものでもある。
また医師が我々警察が病院に入る事を拒んでいるのも、その言葉のまま、娘さんの体調や他の患者に対する気遣いであると判断する事も出来たと思うのだが、そのような判断はしてはいない。
という事は、古閑村長や医師らの胸に一物があるという根拠を既に掴んでいるのかな?」
青野は、とても真剣な表情でたずねた。
「古閑村長に関しては、事件直後の現場での事情聴取と娘さんの病院での短時間の事情聴取を実施しております。
その際に非協力的な対応を取ったのは、病院で娘さんの近くで事情聴取を実施した行為に対してのみです。
しかしその後は、現在に至るまで捜査協力を拒んでいる状況が続いております。
娘さんの体調への配慮という理由だけで、協力を拒否し続けているのはやはり違和感を覚え、それが何かを隠蔽していると思われる根拠となっています。
医師に関しては、病院での事情聴取以降、病院への立ち入りを拒まれる勧告を受けてから、全く関わっていない状況です。」
「そうか。
では現段階においては、まだどちらについても何か特別な根拠の情報を入手している訳では無いという事なんだね。」
「はい・・・。そうとも言えますね。」
「ありがとう、よく判ったよ。
ではこれから、私の考察も聞いてもらってもいいかな?」
「刑事部長の考察ですか?」
研究員達は、青野の突然の提案に今から何が始まるのかと緊張した面持ちになった。
「ああ、そうだ。
だが難しく考えないで欲しい。
むしろ私の考察に、君達の率直な意見を加えて欲しいんだ。
私の考察というのは、古閑村長の話が全て真実であるとして、事件を読み解いてみようというものなんだ。」
青野は、研究員達の表情を見て、緊張を解くように出来るだけ柔和な笑顔で話し始めた。




