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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編 3
89/129

<第89話> 迷走する捜査 ⑤

「お前らは、揃いも揃って一体何を聞いてきたんだ。


 役に立たない聞き込みをしたって、何も前には進まないんだぞ!」


 刑事は、古閑村長、麗子夫人、黒部の人柄や人間関係についての聞き込み結果を聞いて、がなり声を上げていた。


「いいか、よぉく聞けよ。



 ご婦人が殺された直後の村長の人柄を女子アナよろしく『どんな人ですかぁ?』なぁんて調子で切り出して、口火を切って悪口を言い出すような人間なんて早々いないんだよ。


 だからぁ『温厚そうに見えて実は、影の部分が多いらしいと聞いていますが・・・』、とか『黒部と麗子夫人の不倫関係が長くなってきていて村長が苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべている事が多いらしいが・・・』みたいな相手が負の話題を言い易い状況を作ってからその話を聞き出してくるものなんだよ。


 こんな事、()()()()()()()()()()()なんだぞ。


 分かったか、ぼんくらども?



 じゃあ今すぐもう一回聞き直して来い。


 そいで、この事件の立件に必要なさっき俺様が説明してやった内容の聞き込み情報が入って来るまでは、戻って来るな。



 分かったか!」





 「『村長と麗子夫人は村で評判のオシドリ夫婦。村長は、非の打ち所のない人物。


  黒部はよそ者で、昔から挙動がおかしい所が多かった。』だと・・・・。


  こんな聞き込み情報が幾つも集まってきたって、全く意味が無いんだよ。



  そもそも政治家で非の打ち所がない人物なんている訳が無いだろうが、全く・・・。


  こんな事、ちょっと考えれば分かる話だろうが・・・。」


  刑事は、自分の思い通りの聞き込み情報が集まらない状況にイライラが募っていた。



  そして彼は、村長が再度の事情聴取依頼を断った事も勘に触っていた。


 「聴取を断る理由が『娘の容態が気になるから、片時も病院の彼女の近くから離れたくないから。』だと。


  村長さんよ、こんな白々しい理由で断る事が、どれ位自分の首を絞める事になるのか、ちゃあんと思い知らせてやるよ。


  了解いたしました。片時も離れたくないと言うなら、俺様が病室まで行って、直接話を聞いてやりますよって話なだけだな。


  それならもう断る理由は何も無いよな、村長さん。」


 刑事は、意地の悪い表情を浮かべながら言った。

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