<第86話> 迷走する捜査 ②
麗子は息をしていなかった・・・。
村長は、その場で麗子を抱えたまま呆然としていた。
村長の涙が頬を伝っていた。
「麗子!麗子!
一体何があったんだ。
誰がこんな酷い事を・・・?」
村長は、深い悲しみで心と体を完全に支配されてしまった。
村長は、その場で動けないままどれ位の時間が経ったのか、全く分からなかった。
やがて村長の視界の中に、小さくうずくまった姿勢の娘の曜子が入ってきた。
麗子と同じようにやはりピクリとも動かないままの曜子。
その身体の下には血が滲んでいる。
「こんな小さな曜子までもが、こんな惨たらしい姿になってしまっただなんて。」
村長は、静かに麗子を自分の隣に横たえた。
そして大切な家族を二人も同時に失ってしまった恐怖と戦いながら、曜子を抱え上げた。
「やはり曜子も・・・・
いやっ!?
息をしている!!
曜子、曜子お父さんだよ。
曜子!」
なんと曜子は、まだ生きていた。
しかし村長がどんなに大きな声で呼びかけても、曜子は目を覚まさなかった。
曜子の身体は、うずくまった姿勢のまま、まるで死んでしまっているかのように硬くこわばってしまっていた。
(とても静かに、かすかにだがちゃんと息をしているぞ。
間違いない。
曜子は生きている!)
村長は、持っていた携帯からすぐに救急車を呼んだ。
村長は、緊急隊員に娘の状況を説明している中で、母親に守られるようにうずくまっていた事を話した。
そして村長は、救急車の到着を待っている間に、緊急隊員に言われた通りすぐに警察にも連絡を入れたのだった。




