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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編 3
75/129

<第75話> 救いの女神

「お父さん、どうしたの?


 玄関先でそんな大きな声を出したりして!」


 青野と村長、二人の重苦しい雰囲気が漂う玄関で、突然響き渡ったのは、曜子の明るく優しい、そして()()()()だった。



 曜子は、自分の部屋の前の廊下から二人に話し掛け、今は少し小走り気味に玄関の方へと向かって来ていた。



 青野と村長が彼女の声に驚き、その場で佇んでいるうちに、曜子は二人の間を割って入るようにやって来た。



「曜子、お前は部屋に戻りなさい。


 どうしたんだい、お前があんな大きな声を出すなんて。



 お父さん、本当に驚いたぞ。」


 村長は、いつもの声の大きさに戻って娘に話しかけていた。


「あらっ、大きな声を出していたのは、お父さんの方じゃない?


 だから私、そんなお父さんの声にかき消され無いように、精一杯頑張って大きな声を出して話し掛けていましたのよ。


 お父さんまでちゃんと声が届いてくれて、良かったわ。」


 曜子は、笑顔で父に話しかけていた。



「私、お父さんがそんな大きな声を出しているのを初めて見ましたわ。


 お父さんも、そんな声を出す事があるのね。」



「ああ、そうだね。


 驚かせてしまって、すまなかったね。」


 村長は、自分が思わず怒声のような声を上げていた事を娘に知られて、今は恥ずかしく思っていた。



「部屋の中までお父さんの声が聞こえてきたの。


 こんな事は滅多にないことだから、『何があったのかしら?』と驚いて様子を伺っていたの。



 そうしたら青野さんの声もたまに聞こえてくるし・・・。


 先日はあんなに楽しそうに話していた二人だというのに、『これは、一大事ですわ』と思って慌ててこちらに来てみましたのよ。



 一体何があったのですか?」


 曜子は、少し心配そうな顔をして、父を覗き込むように話していた。


「それは心配を掛けてすまなかったね。



 でも、もう大丈夫なんだ。


 話は終わった所なんだよ、曜子。



 青野さんは、ちょうど帰る所なんだ。」


 村長は、静かに答えた。


「青野さんは、帰る所なんですか?」



 曜子は、その澄み切った視線をふっと青野の方へと向けた。


「そうなのですか、青野さん?」


 彼女は、青野へと同じ質問をした。


「いいえ。


 僕は、まだ帰れません。」



(今しかない!


 曜子さんが玄関先までわざわざ出て来てくれた()()()()を逃してしまったら、もう全てがおしまいだ。)



 青野は、心を決めた。


「村長さん、曜子さん、お願いします。


 どうか僕に、お母さんが殺されてしまった事件の話をさせて下さい。」


 青野は、二人に懇願するように言った。



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