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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編
7/129

<第7話> 卒業旅行先を探せ!


 『日本の秘境探検』


 

 僕は、卒業旅行の計画を父に話したものの、確かに実際の行先を決めていなかった。


 そもそも僕の性格は、ロールプレイングゲームをするならば、誰よりも早くゲームクリアをする事よりも、隅から隅までゆっくりと冒険をしながら進めていく事の方が大事だった。


 それならば、あちこちを周遊するより一か所で腰を落ち着けて見て回る観光の方が楽しそうだと考えて、卒業旅行の計画を楽しく聞こえるように勢いで話していた所があった。


 父は、そんな僕の浅はかな考えを素早く見抜いて、具体的な計画にしてからまた卒業旅行の話は聞く事にしようと回答してきた。



 


 「さて、何処を旅行先にするのかを決めなければならないのか・・・。」



  まずは父に言われた通り地図帳を見つめる事一時間。




「・・・つまらない。


そもそも地図に載っている島をのんびり旅行したいと考えている訳じゃないんだよな。



 『今まで経験したことが無いような事を経験する旅行。』



 それこそが、これから社会人として、世間という荒波の中を生きていく僕がするべき旅行なんだ。


 最初の意気込みは良かったものの、いざそれを実行しようと思うと、よいアイデアというものはなかなか浮かんで来てはくれなかった。





「そうだ。


 もしかしたら親に言われるがままに地図帳で探そうと思ったから、僕自身の旅行先は見つからずに行き詰ってしまったのかもしれない。


 それならば、今度は僕らしくインターネットで検索をしてみよう。

 何かそれらしい成果を発見できるかもしれない。」



 作業が前に進まなくなったので、かなりの自己本位なこじつけだったが、

 僕は地図帳を脇によけ、おもむろにパソコンを起動すると、検索を始めた。



 やはり自然が美しい場所を旅行したいから、場所は画像の中から探す事にしよう。



 『綺麗な景色』という検索ワードだけだと国内だけと言っても物凄い量の画像データが出て来るな・・・当たり前か。



 さてと、ここからどうやって絞っていこうかな?




 そうだなぁ・・・。

 楽しい旅行にしたいから明るい単語を追加して検索をしてみよう・・・。



 『希望』・『輝き』・『幸せ』・・・こんな単語を追加・削除をしながら検索を実行してみる。



 そんな作業を何度も繰り返していると・・・、





 「お、何だ。この村の名前は?」

 ふと、海岸の景色に付いていた村の名前に目が留まった。




   『光輝夢村』




  『こきむそん』って読むのか???




  綺麗な白い砂浜が写った海岸線の写真だった。




  白い砂浜の奥の方には緑の木々が広がって見えている普通の海岸・・・では無かった。


  でもこの黒いものは何だろう?

  画面の奥のほうに、緑のなかに黒いものが点々と映っている。


 その黒い点々がある緑の隣には木の看板と思われるものが地面に刺さっているようだが、画像を拡大してみても粒子が荒くなってしまって描かれている文字は、分からなかった。



 画像に付いている短い解説文によると、どうやらN県の島の中の一つにある村の名前のようだ。




 「それじゃあ、この村の住所を調べてみるか・・・



 おや?出て来ない。」



 不思議だった。


 『光輝夢村』


 たとえ僕が正しく読めなくたって、PCに文字を入力できれば、ちゃんと検索できるはずなのに・・・



 「これじゃあ、目的地の場所を特定できない・・・。」



 どう調べてみても、結局住所を調べる事が出来なかった。




 「どうしてだ???

 

  この村の名前は存在しないとでもいうのか???




 ふむ・・・、ひとまず落ち着こう。


 『光輝夢村』

 希望に満ちた雰囲気の名前だよな。



 よし、決めた。

 この村を探し出すのを旅の目的にしてみよう。



 実際に行ってみた先が秘境とはとても言えないような場所かもしれないけれど、それはそれでまた思い出になるだろう。



 とりあえずはN県に行ってみて、それから周りにいる人達に話を聞いて回れば、きっと見つかるはずさ。」



 僕はこうして、卒業旅行の目的地を決定した。


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