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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編 3
69/129

<第69話> 青野にしか出来ない!

 二人は、青野が旅行中に出会った古閑親子の話を改めて詳しく話し込んでいた。


 父からの質問は、古閑一家の今の状況や様子についてだった。


 青野は、父から聞かれる質問の内容で、何故その事が聞かれるのかが分からなかった事については、その詳細を改めて問いながら、きちんと回答が出来るようにしてから答えていた。



 そして青野は、この会話の中で来年から事件の時にどう考え、行動していけば良いのかについて学べる貴重な時間である事を実感していた。




「昴、お前から聞いた話のおかげで、古閑一家に起きている問題について、私達の推理がかなりの現実味を帯びてきたよ。


 お前は、あの親子の事を細かい所までよく気が付いてくれていたと思う。



 本当にありがとう。」


 青野から話を聞き終えた父は、とても穏やかな表情で礼を述べていた。


 この表情には、父親として息子に感じた、そして上司としてこれから働いてくれる将来有望な新人に対して感じた、嬉しい気持ちが素直に現れていたのだろう。




 この穏やかな表情が、次第に警察官としての真剣な仕事の顔へと変化していった。


「昴、お前に大切な頼みがあるんだ。


 私は、お前に今私達が話して得た結論を古閑一家に伝えに行く役目を担って欲しいと思っている。」



「えっ、僕が!?


 それは父さんの方が適任なんじゃないかな?」



「いや、それは私ではないと思う。


 なぜならあの事件は、もうとうの昔に解決してしまっているからだ。


 それなのに今更私がしゃしゃり出てくるのは、違うと思うんだ。




 だが現状の古閑一家には、まだ確実に事件のしこりが残ってしまっている。


 それは、当時の我々警察の説明不足が原因だったと言えるかもしれない。


 だがそうは言っても、そこで私や当時の担当刑事が今更ながらに古閑家をたずね、突然話をするのは、どうなのだろう。


 私達が島に向かうという行動は、あの小さな島ではかなり目立つ行動として周囲には捉えられてしまうと思う。


 あらぬ噂がまた流れ、静かに暮らしている人々に新たに余計な傷を作ってしまいかねないと私は心配しているんだ。



 その点お前は、旅行先でたまたま知り合った人々の縁で偶然にも古閑家をたずね、家族と親交を深めてきた。


 私は、この偶然の機会に心から感謝し、そして今回の大役をお願いしようと思ったんだよ。


 いや、この言い方は適切ではないな。



 そうこれは


 『私からのお願い』


 ではない。



 むしろ運命を帯びた使命にさえ近いと思ったんだよ。


 お前だってそう思わないか?


 古閑家をたずねたのが、当時事件を担当した私の息子である昴、お前だったんだぞ。


 もう間違いないと思う。


 これは『お前にしか出来ない事』なんだよ。



 昴、今一度『光輝夢村』の古閑一家に会いに行ってくれ。」


 父は、断言した。


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