<第48話> 春子の閃き
「彼は、今でも『村長さん』と呼ばれている・・・ですか。
確かにそうですね。
彼がずっとそんな風に呼ばれ続けている事は、皆さんの信頼の証と考えられますよね。
う~ん、困りました。
僕は、もう考えれば考える程、『村長さん』という人物像が難しくなってきてしまいます・・・。」
青野は、困惑し始めていた。
春子は、そんな青野の様子を心配そうに見つめていた。
(どうしよう・・・。青野さんが村長さんの事でこんなに悩み始めてしまうだなんて・・・。
あんないい人なのに、横柄な人だと思われてしまうなんて・・・。
こうなってしまったのは、私が上手く説明出来ていないせいなのよね。
でも上手くって・・・、何?
村長さんの事を話していて、どうしてそんな風に思われてしまったのかしら???
困ったわ・・・、どうすればいいの・・・。
!?)
「そうだ、分かったわ!
それじゃあ青野さんが、実際に村長さんに会ってみればいいのよ。
そうよ。青野さん自身が、村長さんと直接話してみるのがいいんじゃないかしら?
ほら・・・、何だっけ?
ことわざにもそんなのがあったじゃないか。
話を聞くより、実際に見た方がいいっていうやつ・・・。」
ここまで話して、春子が少し考えていた。
「そのことわざってもしかして、『百聞は一見に如かず』の事ですか?」
青野は、すぐに答えた。
「そう、それよ!
私もね、今それを言いたかったのよ。
さすが、青野さんね。」
春子が嬉しそうに答えた。
「はい、確かにそういう『ことわざ』はありますね。
でも、こんな急に村長さんに直接お会いする事なんて出来るものなのですか?」
「青野さん、今更何を言っているんだい。
同じじゃないのかい?
今こうして私に会っているのだって、さっき急に夏子から連絡が来て決まった話だったじゃないか。
こういうのはね、結構何とかなるものなんだよ。」
春子は、青野の顔を見ながらニコりと微笑んだ。
「実はね、私はこれから村長さんのお宅に夕食を作りに行くんだよ。
今だから言うけれど、夏子の手前青野さんと会わなきゃいけなかっただろ。
でも正直あまり乗り気じゃなかったからさ。
ちょっとだけ・・・、まぁお義理程度に話をしたら、その後に村長さんのお宅に伺おうと考えていたんだよ。
でも青野さんは、いい人だったから・・・。
今は話せて良かったと思っているからね。
そんな訳でさ、もう村長さんのお宅に行く時間が迫ってきているんだよ。
それでせっかくの機会だから青野さんも一緒に行こうって話なんだよ。
まぁ突然の訪問だし、私と一緒に行っても、夕食前だからと村長さんが断って来て、話が出来ない可能性も十分あるけれどね。
それでも直接会ってみれば、青野さんも今より少しは村長さんがどういう人なのか分かるかもしれないじゃないか。」
春子は、いいアイデアが思い浮かんだと何度も軽く頷きながら、上機嫌で青野を誘ってきた。




