<第46話> 青野の誤解
「ありがとう、青野さん。
そんな風に言って貰えると、自分の勝手な行動の後押しをしてもらえたようで嬉しいよ。
あれ?
でも青野さん・・・、
声は大きいし、何だか表情が険しいね。
もしかして、怒っているのかい?
でもどうして怒っているんだい?」
春子は、その理由が分からず不思議そうな顔をしながら青野に聞いてきた。
「『どうして?』って・・・。
春子さんこそ、何故そんなに不思議そうな顔をするのですか?
それじゃあお伺いします。
春子さんは、当時そんな村長さんの態度に怒らなかったのですか?」
春子の返答に、怒気を抜かれてしまった青野がたずね返していた。
「そうだね、私は怒っていなかったよ。
『曜子ちゃんの心配。』
ただそれだけだったかな。
う~ん、どうしてかねぇ?
そうだね・・・、青野さんが今怒ってしまったという事は、村長さんの人柄をもしかしたら、何か誤解してしまったという事なのかしら・・・。
ごめんね。
それならそれは、全部私の話し方が悪かったせいだな。
私はね、あの時に怒る理由なんて本当に1つも無かったんだよ。
青野さん、いいかい。
誤解させてしまったようだから、もう一度ちゃんと説明をさせておくれ。
曜子ちゃんと私が話していたあの時、私達の所に来た村長さんも開口一番、今の青野さんと同じ様な事を言って、まず私に謝ってくれたんだよ。
『春子さん、本当にすまなかった。
自分は娘の事を心配するあまり、周りの状況が何も見えていなかった。
『部屋に入るな・掃除も要らない。』
確かに自分がそれしか言わなくて、それ以降娘がずっと姿を見せる事も無かったら、春子さんのように心優しい方なら当然心配するに決まっていますよね。
本当に申し訳なかった。
そして、ありがとう。
曜子のことを自分の娘のように心から心配してくれて、本当にありがとう。』
ってこう言ってくれたんだよ。
そういう人なんだよ、村長さんは。」
優しい笑顔を青野に向けながら、春子は説明していた。




