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<第13話> S市観光の落とし穴


(Sの乱だから明日はS市を観光しよう。)


 この時の僕は、思い付きのままに翌日の予定を決め、それに満足して早々に眠りについた。


 

 その単純で浅はかな思考回路の僕を後の僕が後悔することになろうとは、この時の僕は当然まだ気が付いていなかった・・・。



 そう・・・、疲れていてもう眠かったからなのか・・・と深く反省をすることになったのである・・・






 朝になり、気持ちよく目覚めた僕は、朝食を軽く取って意気揚々と出発した。


 まず始めにS市のS城に行った。


 しかし僕の観光の目的地は、ここでは無かった。


 だから次に、隣のM市のH城跡を当然観光しなければいけないと足早に移動を開始して、H城跡でじっくりと江戸時代の乱を偲んでいた。




 その後、お腹が空いてきたので、海岸線の昼食が食べられそうな店を探していた頃からだろうか。


 僕は、残りの日程と訪れたい場所を訪問する時間を具体的に考え始めていた。


 そして、次第に自分の計画の甘さに後悔の波が次々と押し寄せてきていた。



 『この乱について観光をするのならば、当然指導者であった少年Aの故郷の観光もしなければならない。』



 僕の心の中のもう一人の僕が強く主張していた。





 しかし少年Aの故郷は、S市ではなかった。


 そして隣のM市でもない。




 そう彼の生まれ故郷は、そもそもN県では無かったのだ。


 N県の隣のK県にあるA諸島東部のK市なのである。



 今僕がいる場所からは、海を挟んで隣接している隣の市へと移動しなければ訪れる事が出来なかったのである。



 直線距離では5㎞とは記されていたが、海が間にあるので、簡単に移動することが出来なかった。





 しかし僕の心の中の葛藤は治まらない


 少年Aの故郷であるO島に行き、彼を紹介しているミュージアムも観光したかった。



 しかしながら、この思いと残りの旅行での滞在時間とを考えると、計画を実行する事は、かなり慌ただしい予定になって来ていた。





 かなりタイトな予定で行動しなければいけないが、まだ不可能では無い。



 僕は、諦めることなく予定を組み立てた。




 お腹が空き始めていた僕の思考は、自然と昼食へと誘導された。


 まず昼食を食べた後に、フェリーでK県に移動する。


 そこから更に舟でO島に渡るのか・・・。






 ちょっと待て!


 舟は乗る前の待機時間として更に時間が多くかかるはずだ。


 それも考慮しておかないといけないな・・・。





 という事は、昼食を食べないで、すぐにK県への移動準備を始めるか・・・





 昼食の誘惑と旅行の計画の遂行とが頭の中でせめぎ合いを始めていた。






 ・・・いや、一旦、落ち着こう。


 腹が減っていては、良い考えも浮かばないというものだ。





 こんな事を考えながら周囲を見回すると、「ゴマ鯖 漬け丼」ののぼりが僕の視界の中に飛び込んで来た。



 のぼりのある店は、海岸線に立っていた。


 町の地元の小さな定食屋という雰囲気だった。



 店先には、丸椅子や机も出ていて、その机には日よけのパラソルが付いていた。



 外でも食べられるようになっているこの店のお客の大部分は、観光客というよりも地元の方々のようだった。




 ふむ・・・、ここは、隠れた名店かもしれない。




 『地元客が多い店は、本当に美味しい店』




 これはあくまでも僕の自論だったが、この考えで行動していて今までの所、美味しい店探しは、よく当たっていた。





 空腹が僕の気持ちが後押ししていたのか。



 それとも、他の何か別の・・・そう運命による力の後押しだったのか・・・。





 このお店で昼食を食べる事は、非常に大事な旅行先での思い出になりそうな気持が僕の頭の中にドンドン湧いてきていた。


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