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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編 3
120/129

<第120話> そして語られる事件 ①

「あら、お客様だわ。

 曜子ちゃん、ちょっと待っていてね。」


 麗子は、インターホンの音を聞いて立ち上がった。



「はーい。」


 曜子は笑顔で母に答えた。



「えっ、主人に頼まれた荷物ですか?


 分かりました、少々お待ちください。




 曜子ちゃん、もうちょっと待っていてね。


 お父さんの荷物を部下の方が届けに来てくれたんだって。


 ちょっと受け取って来るね。」



「うん、行ってらっしゃい。」




 麗子は、急ぎ足で玄関へと向かった。








「す、すみません、勝手に上がらないで下さい。」


 麗子は、男を玄関先で引き留めるようにしながら慌てて話しかけていた。



「勝手~?




 何を言っているんですかぁ?


 私自身が荷物なんですよ。



 今日は()()()()麗子さんと曜子ちゃんのお相手をする為にたずねて来てあげたんですよぉ~。



 曜子ちゃ~ん。

 お家の中にいるんでしょ~?


 お兄さんと一緒に楽しく遊びましょ~。」



 ゆっくりとわざとらしい大きな声で叫ぶ男の声が、家じゅうに響き渡った。



「貴方は、一体何を言っているのですか?


 今すぐ帰って下さい!」


 麗子の声が大きくなった。




 母の大きな声が曜子の耳に届いた。


 曜子は、何かがあったのかと部屋から出て来て、廊下から玄関の方を覗き込んだ。




「曜子ちゃん、出てきちゃだめ!


 早くお部屋の中に戻って!」


 曜子に気が付いて、麗子は慌てて叫んだ。




「見いつけた!」


 男は、にかりっと笑った。




 曜子は、驚いた。

 本能的に身体が震えてしまっていた。



 男の顔がものすごく不気味で怖かったのだ。



 目元は一見すると笑っているように見えた。


 笑ってはいるが、それは引きつったような笑い顔だった。


 しかしその作り笑顔の中の瞳は、少しも笑っていないのだ。




 そうむしろ、怖い位冷徹な眼差しだった。



 まるでピエロの道化のお面の下に悪魔が隠れているかのようなその表情。


 曜子は、こんな奇妙な表情をする人間を今まで見た事が無かった。


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