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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編 3
117/129

<第117話> 曜子の記憶 ④

「そして次の日の朝、お父さんに話したの。


『お父さん、私石を持っていなかった?


 お母さんを守る為の大切な石なの・・・』」



「そうだったね・・・。


 あの時は、本当に慌てたよ。

 その話を聞いた時、私は驚愕したんだ。



 (曜子が凶器の石を探し始めた?

  しかも何という恐ろしい部分の記憶が戻ってしまったんだ!)


 と思ったからだよ。」



「そうだったのね・・・。


 でも、私はあの時のお父さんがとても怖かったわ・・・。



 『曜子、お前は石なんて持っていなかったよ。


  そう、()()()持っていなかった。




  そもそも怖かった事件時の記憶なんて、思い出そうとしちゃ駄目だろ!


  また昨日みたいに、全身の震えが止まらなくなってしまったら、どうするんだい?


  そんな事じゃあ、いつまでもお家には帰れないからね。



  いいかい・・・。

  お父さんの言う事はちゃんと守るんだよ。


  怖かった時の話は、もう誰にも話しちゃいけないよ。


  誰かに話したりしたら、曜子が大変な事になってしまうんだからね。』



 お父さんは、とても真剣な顔つきで話していたわ・・・。


 だからね・・・、本当に悲しかったの。



 だってお父さんは、私が思い出す話を・・・、

 お母さんの話を聞きたくないんだって思っちゃったから・・・。」


 曜子は、当時の事を思い出して、目尻にうっすらと涙を浮かべていた。



「曜子、すまなかった・・・。


 お父さんのせいで、曜子をそんなに悲しませてしまっていたなんて、気が付かなかったよ。



 

 あの時は、曜子を守ろうとただただ必死になってしまっていたんだ・・・。


 恥ずかしい限りだよ・・・。」


 村長は、落胆を隠せなかった。



「村長さん、どうか自分を責めないで下さい。」


青野は、村長に優しく話しかけた。


「村長さんは、今日までずっと曜子さんが罪を犯したと思い込んでいた。


 だからこそ曜子さんの記憶が、このまま戻って欲しくないと思う気持ちも強かったんです。


 その結果、当時の言葉が強くなってしまった・・・。


 これは、村長さんの娘を思う優しさから出た行動なのですから・・・。」



「そうよ、お父さん。


 私もそう思うわ。


 ありがとう、お父さん。」


 曜子も笑顔で父に感謝の気持ちを伝えた。



「ありがとう・・・・。


 ありがとう、二人とも。」


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